目が覚めたら




自室でちょっと昼寝をしていただけだった。
けど、今目の前に広がる光景は何だろう。
辺りは夕方なのか赤い空が満遍なく広がっていた。
寝ていたベッドと枕は無く、代わりに草原が広がっており、近くには沢山の木もある。
そして私の目の前には、3人の子供。
1人は天パで銀髪な男の子。
2人目はサラサラな黒髪で、ポニーテールをした男の子。
そして3人目は紫がかった髪で、どこかのお偉いさんのお坊ちゃんらしき雰囲気を漂わせた男の子。
私はその3人の子供を見て目を丸くする。


「お、目ぇー覚めた」


銀髪の男の子が私の顔を覗き込む。
死んだ魚のような目には私が映っており、心配そうにこちらを見ていた。


「大丈夫なのか?」


次は長髪な男の子。
この子も銀髪の髪の子と同様、私を心配しているようだ。
何と返せばいいのだろう。
一応ゆっくりと起き上がり「ありがとうございます…」と礼を言っておいた。
敬語なのはなんとなくだ。
心配されたから少しだけ笑みを浮かべておいた。
でもきっと顔は引きつっているだろう。
当たり前だ。
なんたって知ってそうで知らない子達が目の前に居るのだ。
驚きと焦りが混じって敬語になってしまうのには無理がある。


「嘘も程々にしろよ。顔色、少し悪いぜ」


そう言ったのは紫がかった髪の男の子。
彼はこちらを凝視している。
やはり戸惑いを隠せなかったらしい。
……仕方がないだろう。
先程も言ったように驚きが隠せないのだ。
どこからどう見てもこの子達はあの銀魂キャラにそっくりなのだ。
左から高杉晋助、坂田銀時、桂小太郎、といったところだろうか。
いや、でも私の世界にはこの子達はいない。
…ってことはコスプレでもしているのだろうか。
そう思い込みをし現実逃避をしてしまう私。
だって、もし私が今トリップしたのなら、私の友達、身の周りの人は全員いないのだから。
そう考えるだけで鳥肌が立つ。
ここに来る前はトリップは有り得ないとずっと思っていた。
非現実的なことであり、現実では必ずないこと。
あるとしても夢小説とか漫画とか小説だけ。

不安がだんだん私を包み込む。
顔も青くなってきているだろう。
いや、でもまだここが銀魂の世界って決まった訳じゃないんだ。
だから、きっと。
きっとまた寝て目を覚ませば元に戻るはず。
絶対に、これは夢だ。
うん、夢なんだ。





現実逃避
(おい、あいつ大丈夫か?)
(うむ…何だか顔色が悪くなっているような…)
(……大丈夫だろ)

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