関わる



「そういえばなんでさっきため息ついてたの?」

あのあと無理矢理名前を
吐き出された私は最初の疑問をなげかけた

「あー…部活さぼったらこってり絞られてな…」

そんなにつらかったのかと
軽い気持ちで絞られた内容を聞いたら、
ため息の意味も理解できた

そりゃあため息つくわな。
その内容を考えた人物は誰なんだろう
きっと大物なんだろな……

「きたかぜは何でため息ついてたんだ?」

突然の投げかけに"ぎくり"
その表現が一番しっくりくるだろう反応をしてしまった。

「……」

青峰は私をじーっとみて、
なにか閃いたように笑った

「はっはーん…わかったぞ俺は」

なんだかものすごくその考えが当たってなさそうに感じるのは私だけなのか

私しかいないけれど。

「お前あれだろ、この時間に歩いているということは、実は馬鹿でこの時間まで補習とか受けてたんだろ」

……よくこの時間帯に歩いているということだけでそうドヤ顔できるよね

「見た目は大人、頭脳は子供とはこのこと…」

「っていうのは冗談で、言ってみろよ。ある程度他人の方が話せることとかあるだろ?」

ぼそっと言った私の言葉は届かず、
冗談だといった青峰。

この人は意外と人のことを考えられる人なのかもしれない。
そしてある程度他人だから話せる
これはとっても図星だ

少しだけ話をしてみようかな。

「…仲、よかった人とクラスが離れて話す機会が少ししかなくなったの」

「ふーん」

「…興味なさそうな反応…!」

聞いておいてなんだその反応は!
話した私が恥ずかしいじゃんか…
口をとがらせる気持ちで拗ねれば
青峰が口を開く

「だってよ、話す機会がなくなったわけじゃねーんだろ?」

「うん…?うん…」

そうだ。別に話す機会がなくなったわけじゃない。
青峰は両手を頭の後ろでくんで続ける

「じゃあいいじゃねーか。お前よりも話す機会がないやつだっている。それでもお前は関われる。」


「それは向こうもお前と関わろうとしてるからじゃねーの?」


「…………」

"向こうも関わろうとしてる"

そう考えたことはなかった……。
よく考えたら、赤司は私があそこに行くようになる前から、本当にいつも昼休みにきてた…?

もしも………関わりに来てくれているなら

それはすごくうれしい。
飛び回りたいくらい、青峰に膝蹴りを入れたいくらい嬉しい


本当にそうだったらどうしよう

「おい、ニヤけてんぞ気持ちわりぃ」

「ニ、ヤケけてないし……」 

完全にじと目で見てくる焦げ茶。
失礼なやつめ。

………でも、
もし昼休みのが勘違いだとしても、
関われるという事実に変わりはない。

それに気づかせてくれたことに感謝しなきゃ

「ありがとね」

そう伝えれば「うっせ」と呟き照れを隠すように早足になった。

「え…?あ、青峰…?ちょっ…!まってよ!」

………訂正。
それは早足ではなくて競歩並みだった。


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