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「またか……」
タオルを無くした一夜を越え、俺の身の周りは妙なことがたびたび起こるようになった。
シャーペンであったりハンカチであったりと、無くなって急に困ることがないため、誰かに言うこともなかったのだ。
はじめは、俺に変装するために小物を仕入れたいという仁王を疑った。だが部活仁王と一緒にいた間にも触られた痕跡があったため、違うということが判明された。
そして、俺が自分の持ち物をそれとなく警戒し始めたころ、パタリと物が無くなることは終わった。犯人を捕まえたいという正義感はあるが、もう反省しているのなら別段会いたくもない。


しかし。


「最近よく携帯を見てますね。どなたか連絡でも待っているのですか?」
クラスメイトの柳生は私的なことを無粋に聞くタイプではないが、それほど俺が携帯を触っていたのだろう。何せ今まで持ってはいるが学内で確認などしたことがないのだ。違和感を感じられても仕方がない。
「いや、そういうつもりはないのだが……」
「そうですか、それは失礼しました」
ところで、といつもの自然な会話を取り繕う柳生に紳士を感じる。これで他メンバーならば彼女でも出来たのかとからかうだけだ。

俺が携帯を見ていた理由、それはずらりとならぶ着信履歴。俺のアドレス帳には家族と部活関係者しか載っていない。登録していない同じ番号が、延々と続いている。
朝と夜、集中的にかかっているところを見ると相手は社会人なのか学生なのか。だがそれは日本人の大概が当てはまるだろう。
携帯など特に使うことはないが、それでも確認すると大量に入っていると気持ちが悪い。誰かと間違えているのだろうかと思い出てみたが、返事はない。

ある意味、ここで柳生がもう少し携帯について突っ込んでくれたら、相談できたかもしれない。だがもう話は柳生の今ハマっている愛読書についてだ。


俺はそれを聞きながら、適当な相槌を打つしかなかった。

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