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アポなしの昼間。
いるかなー?とインターフォンを押す。
『なんですか…?』
明らか寝起きの声。規則正しいはずのバニーが?と、また眉を潜める。
『話したいことがある』
そういえば、バーナビーは断る事ができるはずもなく、中へ通す。バーナビーは正直虎徹に会いたくなかったが、話したい事があるって言われたら結局は一番自分が望んでたわけだし無下にできなかった。しかし、話はじめた虎徹は相変わらず『飯食ってんのか?』『仕事してるのか?』ばっかで一切自分の事を言わないもんだから、自分の事をまだ同等だと思ってないんだと気づいてしまう。
この人の話したいとは『相談したい』ではなく『最近どうだ?』なのだ。結局は自分は相棒なのではなく彼にとって加護する対象でしかないのではないか。それはバーナビーとって堪え難いこと。
『貴方には関係ない。もう相棒ではないでしょう。』
気づいたらそう言っていた。それからは、また電話みたいに言い合いに。バーナビーは、虎徹を追い出そうと躍起になる。躍起になるあまり『僕は一人でいい!!貴方は何も分かってない!』と怒鳴って自分から部屋をでる。虎徹と違っていくあてなんてないのに…。一人残された虎徹はイライラとしながらアントニオに連絡をとるのだ。
 懐かしいバーに寄りアントニオとネイサンと三人で酒を煽る。最初は近況を話していたのに、やはり話題はバーナビーの話しに。今日おきた事を話すと、ネイサンは嘆息して言う。
『ちゃんと冷静に話しあいなさい。貴方先輩なんでしょ。"相棒"のことちゃんと考えてあげなきゃ』
最もな台詞に虎徹はもう一度バーナビーの家にいくのを決心した。
 バーナビーの家に言ってインターフォンを鳴らす。反応がない、仕方なくドアの隣に座って彼が出てくるのを待つ。2時…すっかり寒くなった時間にブーツの音。バーナビーは一日中あてもなく街をさ迷っていた。バーナビーの体は冷え切っていた。
『なんでいるんですか…』
『ちゃんと話そう。』
『話合うことはないです』
『話そうバニー。俺達の今後…話し合ってないだろ?』
虎徹がそういったのは偶然だったが、バーナビーからしたらずっと待っていた言葉だった。バーナビーは虎徹を家にいれる。互いに向き合って席につき、バーナビーは遠慮がちに口を開いた。貴方は身勝手だ、と。貴方の行動は僕を相棒を馬鹿にしている、と。しかし、瞳だけはしっかりと虎徹をとらえていた。
バーナビーが虎徹の身勝手を攻めると、虎徹は困ったように『そうか…』って呟いた。その後、ポツりポツリと彼も話していく。10月ころに能力が減退し始めたこと。楓のこと。サマンサのこと。
話し終わると時計は4時に回っていて、バーナビーは『半年遅いですよ…おじさん』って言うんだ。
虎徹は一回『すまねぇ』と謝って、最後に『でも、これだけは譲れねぇわ。お前、もう相棒じゃないっていったろ。あれは流石にムカついたわー』そういっていきなり不機嫌そうにする虎徹にバーナビーは『すいません…虎徹さん』って一回だけ謝って、二人笑いあう。やっと【バディ】なれた瞬間。
 一回しか謝らないし、許してくれたかも聞かない…でも確実に二人は仲を取り戻しつつあった。
普通虎徹はアントニオとかと喧嘩すると、明日には流れで仲が落ち着いてるもんだし、男なんてそんなもんだろと虎徹自身思っていた。だが、バニーは生い立ちがあれなだけに例外だとやっとこ気づいたのだ。話し合うことは、自分が思ってる以上に大切なのだ。
そのあと、虎徹は家に帰ると言った。しかし、バーナビーは困ったように『自分が今何をしたらいいか分からない、何がしたいかも分からない』というもんだから、バーナビーも一緒に実家に帰ることになった。ひょんなことから、バーナビーの鏑木家生活が始まる。虎徹は、いろんなもんに触れて夢が見つかれば…そんな思いだった。



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