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思わずな展開に混乱して通話を切って待受画面を見つめるバーナビー。画面が暗くなるころには翡翠から溢れだした涙が画面を濡らす。
話の途中に電話をぶちぎられた虎徹は、バーナビーが都合の悪い話になったから切ったと思って余計苛立つ。この時点で実は虎徹はホテル前にいて、電話の受け答え次第でバーナビーに声をかけようとしていた。虎徹はバーナビーの態度に一度殴って叱ってやろうかと背後からさっきから動かない彼に近づく
『おい!!バニー!!!』
そういって肩を掴んで、無理矢理コチラを向かせると、予想ではまたあの憎たらしいいけ好かない表情をしてる筈だった男は、訳がわからないと言った顔で大粒の涙を浮かべ瞳に虎徹の顔を写していた。
『こ…てつ、さ……っ!?な、んでココに…』
そこまで言ってバーナビーははっとなる。虎徹はもう自分を嫌いなんだと。しばらく二人の間に気まずい空気が漂い。沈黙を先に打ち破ったのはバーナビーだった。
『……すいません…虎徹さん…』
絞り出すように告げると、力が弱まっていた虎徹の手を振りほどいてバーナビーはブロンズステージの方に走り出す。慌てて虎徹も後を追うが、バーナビーは能力を発動させたので負けじと虎徹も応戦する
バーナビーがブロンズステージにつくと、虎徹も振り切っていた。あまり馴染みのないブロンズステージの裏路地にいて、能力が切れてそこで座り込み溢れる涙を擦ってた。すると、いかにも柄の悪そうな男達がバーナビーを見つける。
『あれ、バーナビーじゃん、何でヒーローこんなとこで泣いてんだよ』
下品な笑い声に囲まれて、バーナビーは見向きもしない。いや、相手をする余裕がなかったのかもしれない。
『消えてください。…貴方たちの相手をしてる暇はないです……』カンに障ったのか男達はバーナビーにつかみ掛かる。いつもなら簡単にのしてたバーナビーは、今日は無理に抱かれたばかりで、能力なしではまともに走れないくらいだった。
『なんだよ、反撃しねーのかぁ?』
男は、そう笑ってバーナビーの腹に拳を入れる。ほかの男達も次々に足や手を出してきた。普段鍛えているからせこまで重傷にならないにせよ痛いものは痛い。虎徹はバーナビーを見失ってから残りすくない能力を駆使して彼を探してた。ふと虎徹さんが耳をすますと、明かに苦しそうなバーナビーの声が聞こえる
『バニー…ッ』
虎徹は急いで、ブロンズの路地に足をはしらせた
『俺、ヒーローとか嫌いなんだよね…!』
そういってバーナビーの髪を掴んでついに顔を男が殴ろうとした刹那。
『じゃぁ、ヒーローに会わないように刑務所に連れてってやろうか?』
ついさっき能力の切れた虎徹の拳が男の顔をとらえる。
『こ、てつさ…?』
バーナビーは薄れゆく意識の中で男達を追い払う虎徹見た。
意識を取り戻した時には、虎徹の部屋のロフトに寝かされてて、痛む体に鞭打って起き上がり、視界にふっと入った携帯を見て思い出す。じわりって涙がうかん思わず呟く
『もう、限界なんだ…』
『何がだよ』
『…っ!?』
振り返ると階段を上がってきた虎徹がコチラを見ている。
『お前何か隠してんだろ』
『…』
『黙ってちゃわかんねーよ。俺を利用して処理してたかと思えば』
『ち、ちがっ!そんなんじゃ!!』
『わーてるよ。セフレ相手にあんなマジ泣きする奴いねーだろ。なぁ、バニー…言えないか…?』
虎徹はそっと優しく髪にふれる。それだけにもバーナビーは肩を揺らした。そのまま流れで、虎徹はそっとバーナビーを抱きしめた。
『バニー、大丈夫…嫌ったりしねーから』
耳元で聞こえた声はさっきとは打って変わり酷く優しげであった。抱きしめて名前を呼んで…数時間前自分が切に願ってた事が今まさにおこっている。たまらなく気持ちがあふれて、バーナビーは虎徹の服をにぎりしめながら語る。
全て話すと虎徹は優しく笑って『そうか…』とバーナビーを撫でる。
『バニーちゃん、ハンサムの顔が台なしだわ…』
『…』
『……なぁ、バニー…。お前さ、俺のこと好きだろ?』
『…………はい……すいません……』
『あのな、バニー。お前さ俺の話最後まで聞けって。お前は謝る必要ねーよ。』
『でも…』
『だっ!気づけよ!あのな、流石に俺も好きでもない相手にここまでしないからな』
『………え?』
『一回しか言わないからな…




好きだ、バニー』




そういった彼の声は、今までのどの瞬間より愛の満ちた暖かい声であった。

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