8 [ 8/27 ]



そして、約束当日。
バニーちゃん生活感ねーなぁって言われたので、引っ越したばかりだから…と適当にごまかした。約束とおり炒飯作ってやると、『うまいぞ』と虎徹は笑った。久しぶりに頭をなでられ(頭をなでるのは虎徹の癖だ)褒めてもらえてすごく嬉しいのに、一方的な思いとか、側にいれればそれでもいいと思ってたのに側にもいれないもどかしさにバーナビーは泣きたくなった。
虎徹は、なんとなくバーナビーが落ち込んでるのを察知していた。
『バニーなんかあった?』
『え、何もないですよ?』
『お前、この期におよんで隠し事か?』
虎徹にそう攻められ、自分がつけたまだ癒えない傷だとか、会えない寂しさとか、隠し事してちょっと呆れられた事とか悔しくて寂しくて愛しくてバーナビーはいきなり溢れ出す涙を止めることができなかった。
虎徹は焦って泣くバーナビーを必死に宥めて抱きしめソファーにつれてく。『ゴメンな、でもなんかあったら言えよ?』って優しく言ってやったら、泣き止んだバーナビーは頷いてすりよってくる。
しばらくして落ち着いつくと、一気に気まずい雰囲気になりとっさに虎徹は『悪いんだけどトイレ貸してくんない?』という。
『えっ、あ、はい…たぶんアッチです』
バーナビーの答えを聞いて、トイレ行きながら『たぶん』って言葉にひっかかる。妙に生活感のない部屋、使われた気配のない個室や洗面台。虎徹はおとくいの勘でバーナビーがここに住んでないことに感づく。しかしバーナビーに直接問いただすことなく、虎徹はある計画をたてる
『バニー予定ないよな、俺の実家にこい』
『は?』
『よし、そうと決まればいくぞ』
『え?ちょ、虎徹さん!?』
バーナビーはそのまま強引に車にのせられ実家にいくことになる。しかし、バーナビーは気が気でなかった。虎徹の実家にいくのは確かに嬉しい。しかし、実家に行くことは友恵と虎徹さんの思い出を目の当たりにしてしまうことでもあった。それはとても怖いことなのだ。
 虎徹の実家で楓達に再開、挨拶をし何日かとまることに。最初はわけのわからない状態だったが家族のように接してくれる楓や安寿や村正に母や父の面影を思いだし嬉しく切なくなる。それと同時に久しぶりに一緒に過ごす相棒に思いが募っていった。そんなある日虎徹はバーナビーをつれて墓参りにいく
 友恵の墓の前で嬉しそうに『俺の最高の相棒だ』と紹介する虎徹にいろいろなものがふっきれて、帰り道前を歩く虎徹に思わず『好きです』と告白してしまう。そのあと繰り返すように『ごめんなさい、でも好きなんです』と謝罪を繰り返すし、虎徹はそんなバーナビーの顔をあげ優しいキスを一つ
『泣くなよ…』
そういって虎徹は何時も以上に優しい声と甘い眼差しでバーナビーに語り始める。合わなかった一ヶ月…俺がどれだけバニーに会いたかったか…そう語る虎徹に理解が追いつかないと疑問符を飛ばすバーナビーを虎徹は優しく抱きしめ・・・

『俺もお前が好きなんだよ…』

オリエンタルランドの夕日が優しく輝く

[*prev] [next#]



.