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GreenThief (リフ佐久)

2010/06/24 23:25


先ず、あの笑顔に魅せられた。

余裕のある、美しくも、少し幼さが残る可愛い微笑に魅了された。



「可愛い」

「っ!!?」

アジア予選の決勝が終わり、スタジアムの出入り口周辺は帰路につく沢山の人達で溢れかえっている中、リーフはその雑踏で細く滑らかな腕を掴んだ。
腕を掴まれた本人は驚いて振り向く。揺れる銀髪、見開かれた透き通る橙の瞳。
やっぱり綺麗だ、とリーフは間近で見て改めて思った。


「ねえ、君が欲しい」

「…はあ、…っ!?オーストラリア代表の!」

「なんだ知ってるの」

「…まあ」

リーフが掴んだ腕をぐい、と引き寄せ鼻先がぶつかりそうな程顔を近付けると、佐久間は逆の手で押し返し一歩後退する。

「なんで逃げる」

「なんでって…」

またリーフが近付けば、佐久間が後退する。
これを幾度も繰り返していたらとうとう佐久間が壁にぶつかった。
人の流れに逆らっていた為、結構な迷惑だったであろう。


「君が欲しいんだ」

「何言って…」

「冗談なんかじゃないよ」


リーフに真っ直ぐ見つめられ、心臓が跳ねる。


「気に入ったものは、全て手に入れたいんだ」


佐久間が奪われたのは、唇だけではなかった。




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