可愛いこの子

「大丈夫か、乱菊」

総隊長に呼ばれた真子達と別れ、一人ぼーっと突っ立ってた乱菊に近寄った。

「静希、隊長…」

「、ギンは謹慎と降格程度で済むだろ」

「え、?」

「心配なんだろう?」

そう言ってやれば珍しく泣きそうな顔をするからどうしたもんかと。

「…あいつ、昔っから何考えてるか全然分かんなくて、」

「うん」

「いつの間にか居なくなっちゃうし、いつも急で。短かったけど兄弟みたいに過ごしてたから今回のこと、何でこんな事したのか分からなくて…」

俯く乱菊の頭に手をやりポンと撫ぜた。

「あいつが藍染側に居たのは、加担する為じゃないよ」

顔を上げた乱菊に笑ってやる。

「昔虚に襲われたことあったろ?」

「静希隊長が、助けてくれた…?」

「そう。あの時の虚は藍染が放ったものだったんだ。お前は死なずに済んだけど俺の到着も少し遅くてな、あの虚に乱菊、お前は少し喰われたんだ」

「喰われた、?」

「あぁ。深い傷の治りが遅かったりするだろ?それは喰われたのが原因だ。そしてその場に藍染が居て、ギンはそれを見てたんだよ。霊圧の高かったお前は藍染が崩玉を創るために利用されたんだ。それを知ったギンは藍染を殺そうとあいつに一番近い位置で機会を伺ってた」

「そ、なことが…」

ポロポロと涙を零しはじめたその瞳を隠すように俺は乱菊を抱きしめた。
ぎゅっと俺の死覇装を握りしめる乱菊はなんだか昔を思い出させる。
泣けばいい。
今は気がすむまで泣いてしまえばいい。

「うちの、隊長もっ、重体でっ」

「あぁ」

「ギン、はっ訳分かんないし…!も、どうしたらいいか、っ」

「大丈夫。皆生きてる。お前もギンも、日番谷だって」

「よか、った…っ!」

いつもは皆のお姉さんでいる乱菊が子供みたいに泣きじゃくるから、場違いだと分かっていても可愛いと思ってしまうのはまぁ仕方ない。

(7/8)

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