05
「ま、いいんじゃねーか?うちの船長は言い出したら聞かねーし」
「レディにあんなことする奴は許せねぇしな」
ゾロもサンジあの貴族と戦う気満々のようで、サンジに至ってはメラメラと燃えている。
「はあ〜もう!どうせそうなるだろうと思ったわよ!」
「おいおい!本当にやるのか!?」
「仕方ないわ、ルフィさんですもの」
「でもどうやるんだよ!相手は世界貴族なんだろ!?」
「そうねえ、目つけられたら最悪ね」
「それは大丈夫じゃ」
考え込むナミに言ったのはおじいさん。
何が大丈夫なのか分からず首を傾げればまた口を開いた。
「今キーラは天竜人ではなくあの貴族の奴隷ということになっとる」
「え、じゃあ天竜人関係ないの?」
「直接は」
「へーよく分かんねーけどぶっ飛ばしていいってことだろ?」
「…そうね。もう好きにしなさい」
本人の預かり知らぬ所でキーラ救出が決定したのだった。
***
沢山の草花が生える広場にキーラは居た。
少し行けば王宮があるそこへ週に一度だけ行くのが彼女の日課になっていた。
もう慣れてしまった奴隷生活の中で唯一自由に外に居られる時間。
あの貴族からの命令で薬を作らなければならなくてその材料の調達をするのにここへ来ている。
薬を作るのは好きだ。
でもその用途があの貴族のためだと思うと嫌になる。
12年。
天竜人の奴隷であった時からこの作業は変わらない。
もっと自由に生きてみたい。
もっと自由に薬を作りたい。
出来ることならこの、自分の力をあんな風に使いたくない。
けど自分が反抗すれば島の人達に被害が及ぶに決まってる。
母や父のように。
そう脅されればどうすることも出来ない。
これ以上あいつらに殺される人は見たくない。
ならどうするか。
自分が従えばいい。
簡単なことだ。
そう頭では分かっていてもやっぱり考えてしまうのはあの日天竜人に捕まらなかったらというもしもの話。
もし両親が生きてたら。
もし自由だったら。
もし平和に暮らせたら。
どれだけ考えたって叶うことのない話。
せめて島の人が死にませんようにと願うしかない。
「おい、時間だ」
あぁ、自由な時間というのは過ぎるのが早い。
mae tugi
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