07
なんだか寒いと思ったら雪が降っていた。
ちらちらと舞うそれはこの島でもそこそこの頻度で確認される。
悴む指先はいつもより感覚がなく今まで気付かなかったが、どうやらまた血が出ているらしい。
どおりで薬草が赤くなってる訳だ。
寒暖差の激しいこの島で背中ががっつり開いたホルターネックの丈の短いワンピース一枚で過ごすのは苦行としか言いようがない。
体調を崩さないのは自分が作った薬を飲んでいるからだが正直ここまで崩さないのには驚きだ。
傷の出来た指先にも塗り薬を塗り込みまた薬を作り始める。




***




腰まであるウェーブがかった黒髪ときゅっと括れた腰に豊満なバスト。
スラリと長い手足。
それらは愛すべきレディの神秘だ。
あの彼女も顔は見えなかったが美しいに決まってる。
だからこそ許せない。
レディをあんな扱いするなんて考えられない。
万死に値する。
レディに優しく出来ない野郎なんて消えてなくなればいいさ。

「サンジ…?」

「ん?なんだチョッパー」

店の大きな机を囲み作戦を練る中、そんな事を思っていたら隣に座っていたチョッパーが恐る恐るというように尋ねてきた。

「なんか、怖いぞ」

ああ、無意識に怖がらせていたらしい。
まぁこいつは小さい子供みたいなもんだからな。
頭を撫でて大丈夫だと言えばそっか、と安心したようにまた皆に加わった。

何故だか自分にも分からない。
気になって仕方ないんだ。
きっとどんなレディがあんな扱いを受けていてもおれは怒りが溢れると思う。
絶対そうだ。
だが今回、彼女を見たあの時から頭から離れない。
顔を見たわけでも話したわけでも声を聞いたわけでもないのに何故だか頭から離れない。
あの貴族を殺してやりたい。
尋常じゃない程の怒りが込み上げてくる。

レディは大切だ。宝だ。
しかしこれ程までに一人のレディを思ったことはなかった。
これが恋だというのならとんだ一目惚れだな。
まだ顔すら見ていないってのに。


mae tugi

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