あおいそら

ナイショ話

 友達が教室から出て行って、いよいよ教室には私ひとりになった。
 黒板には大きな文字で"卒業おめでとう!"と書かれていて、その周りには沢山の落書きが残っている。
 黒板の文字も明日にはきっと消されていて、私がここで過ごしていた跡もすぐに消えてしまうのだろうか。なんて考えて悲しくなった。

「…またね」

 黒板の落書きに触れながら呟くと、一際大きな風が舞い込んできて…教室のカーテンが揺れた。

「紺野、話がしたいんだが…いいか?」

 誰もいないと思っていた教室に、私以外の誰かがいるとは思ってなかったので吃驚した。…まさかカーテンの影からカラ松くんが出てくる、なんて。

「…全然いいけど」

 恥ずかしさで赤くなりそうになるほっぺたを両手で隠しながらゆっくりと近付くと、カラ松くんは少し強引に私の腕を掴んで引っ張り、カーテンをしめた。…気がつくと、私とカラ松くんだけの狭い空間が出来上がっていた。

「か、カラ松くん…?」

 カラ松くんが、ふっ。と笑ったのを至近距離で見てしまい、さっき以上に顔が赤くなったのが分かった。
 恥ずかしくて顔を背けたくなったけど、それを許さないかのようにカラ松くんは少し身をかがめて額と額をくっつけた。…カラ松くんが目と鼻の先。
 恥ずかしさで目の前がボンヤリして、頭がくらくらしてきた。

「…好きだ」

 追い打ちをかけるような台詞に、私の思考は停止した。

<<   >>
Bookmark // List

- ©2015/11/17/Thu/AOISORA -