あおいそら

箱推し

 郵便受けに入っていた、あやしい手紙。
 真っ白な封筒に“紺野 アオイ様へ”とだけ書かれた、切手も消印も…差出人の名前すら書いていない、そんな怪しい手紙がいつの間にか郵便受けに入っていて…今、手元にある。

 恐る恐る封を切って中を見てみると、真っ白な紙に罫線が入っているだけのシンプルな物で、内容はこうであった。


 後日、荷物を送る。
 それは、我等からのクリスマスプレゼントである。

 詳しくは、別紙参照。


 …意味が分からないし、別紙どこ。と首を傾げた瞬間、チャイムが鳴って荷物が届いた。
 やたら大きい段ボール。そのくせ、思ったより軽い。
 もしかして、さっきの手紙に書いてあった荷物がこれ?と恐る恐るガムテープをはがして箱を開ける。

 箱から出てきたのは、色とりどりのミニスカサンタとトナカイの着ぐるみ。
 それと、おそ松やカラ松といった名指しのプレゼント。
 …私の名前が無いのは嫌がらせだろうか?いや、でもこのプレゼント嫌な予感がするから、無くて良かったのかも。
 それにしても、このサンタ服は一体何だろう?と赤いサンタ服の隅々まで調べると…とんでもないことが判明した。

 まずは、このミニスカサンタ服がどういった物か、説明したいと思う。
 ご覧の通り…ミニスカサンタなので、ミニスカである。膝上である、たぶん。
 半袖のワンピースタイプで、首元や袖口・裾には白いモコモコがあしらわれて、胸元に縦に二つ、ポンポンが付いていて、ウエストには黒いベルト。
 そして足下のオシャレ…そう靴だ。
 靴は…黒いゴム長靴に申し訳程度に白いポンポンが一つボンドで荒く留められた物が6つ。
 色々ツッコミを入れたいところが多々あるが…あえてスルーして、ミニスカサンタ服のタグを見ていただきたい。
 “メンズ M”
 …そう、メンズなのである。

 薄々気がついていたさ!
 だって、色が…赤・青・緑・紫・黄・桃なのだから。

 ってことは、残るトナカイが私用?…まぢか。




 そんなこんなでクリスマス。
 六つ子ちゃん達を金で…じゃなくて、言いくるめてミニスカサンタを着せてみた。

「どうかな、アオイちゃん!」

「うん、とっても赤いね」

 仁王立ちで私に感想を求めてきたおそ松から視線をそらしながら適当な返事をしたが、どうやらお気に召さなかったようで、文句を言ってきているが、無視。

「ねね、僕はどう?」

「とってもピンクだよ、トド松君」

 女子力高いポーズで私の目の前にやってきたトド松に、おそ松と同じような感想を言うと、色の感想を言われても困る!とプリプリ言われた。

「フッ、どうだ…?
 俺は何を着ても似合うだろ?」

「あぁうん…ソウデスネー」

 自前の鏡を覗きこみながら声をかけてきたカラ松の方を向くことすらせずに答える。
 が、自分に見とれていたのか何も言われなかった。

「で、なんでアオイちゃんはトナカイ?」

「私にも分からない…」

「そんな謎なモノ着ないで!?ってか着させないで!?」

 ミニスカチョロ松が腰に手を当ててプンプンしているが…自分の格好を思い出して欲しい。
 そんな格好では何をしても笑ってしまう…ぷぷー。

「で、何すんの!?
 野球!?」

「いや、この格好で野球は無理でしょ。
 外に出たら捕まる…」

 どこからか取り出した野球バットを振りながら外に飛び出そうとする十四松に一松が止めた。
 ありがとう一松。もう少しでご近所さんの笑いものになってたよ、君達が。

「まぁ、それはさておき」

「置いちゃうの!?」

「置いちゃう。
 で、皆さんにプレゼントがあります!」

「おぉー!」

 そういえば。と謎の名指しプレゼントを一人ずつ配る。
 皆が受け取った後、一斉に中身を確認した。

「…え?」

「なに、コレ…」

 その中身は…ビビットカラーのブリーフだった。
 どこに売ってるの?とか、なぜコレにしたの?とか…色々あるけれどとにかく。

「…面白すぎる!!」

 六つ子ちゃん達がパンツ片手にミニスカサンタでオロオロしている。
 そんな、面白すぎる光景をそっとスマホに納めておいた。

Comment thanks!
┣ あおいちゃんはトナカイ、その他全員
┃ ミニスカートサンタの格好でパーティ
┗ 色違いのブリーフをプレゼント


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