▼ トム
「そういえば、トムはノートだけどお菓子食べられたっけ?」
ボリボリと友達から貰ったハロウィンのお菓子を秘密の部屋でゴロゴロと食べていると、ふと思ったので呟く。
今思えば紅茶とか飲んでた気もするけど…。
「何を今更言っているんだい?」
イスに腰掛けて分厚い難しそうな本を読んでいたトムは、顔をしかめながらも顔を上げてくれた。
「え、じゃあ…お菓子いらない感じ?」
わざとらしく散らかしていたお菓子を片付けながら聞くと、トムは食べると言って…私がくわえていたクッキーを奪って食べた。
あまりの早業で、トムがクッキーをかじっているのを見届けてしまった。
「それ、大事に味わって食べてたのに…」
「…油断してた方が悪い」
ガバッと寝転がっていた体を起こしてトムに猛抗議してみたものの、素知らぬ顔でクッキーを食べきられた。
期間限定のハロウィンクッキーだったのに…。次食べられるのは、来年なのに…。
しょんぼり肩を落としていたからなのか、少し困った様子のトムは溜め息を付きながらイスに座り直して、杖を振った。
ふわふわとティーカップが二組、それからティーポットが現れて空中で紅茶を入れた後、静かにテーブルに着地した。
キョトンとそれを見ていると、さっさと座れという視線に気がついて…テーブルを挟んでトムの目の前に座った。
いつの間にかテーブルに置いてあったシュガーポットが勝手に砂糖をカップに入れてくれている。
1杯、2杯、3杯…って入れすぎ!慌てて止めた。
これ以上入れられる前に慌てて口を付けると…優しい味がした。
「…おいしい」
「当然だろ」
珍しいトムのお茶も飲めたし、何故か照れた様子で顔を背けるという珍しい様子も見れたし…この件は許してあげようと思う。
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