▼ トド松
「あ、いたいた!」
「あれ?今日アオイちゃん魔女なんだね」
暇そうに歩くトド松を見つけて駆け寄ると、少し驚いたあと笑顔で…似合ってるよ!と言った。
ありがとう。と返事を返しながら、持っていた大きな袋をグイっとトド松に押しつける。
トド松が突然渡された袋に戸惑いつつも中身を見たのを確認したので、ニッコリ笑う。
「着てくれるよね?」
「え、コレを着るの…?」
無理矢理押しつけたハロウィン衣装を持ったトド松の背中を押して、すぐそこの松野家にUターンさせて着替えさせた。
ワクワクとしながらトド松が出てくるのを待っていると、え…本当にコレ着なきゃダメ?と言う大きな独り言が聞こえた気がしたが…気のせいだろう、と無視をすること3分。
やっと出てきたトド松は…王子様ルックにカボチャのかぶり物という出で立ちで白タイツとカボチャパンツが眩しい。
ぷくく…!と笑いながらサムズアップすると、無言で親指を曲がらない方向に曲げられそうになった。
「ねぇ、なんで白タイツ?
カボチャパンツはまだいいけど…なんで白タイツなの?
それに何、このカボチャの大魔王っていう文字…ありえないでしょ!」
風でなびくマントには大きく丸文字で大魔王と書かれており、とてもシュールで、笑いが止まらない。
詰め寄ってきたかと思うと、私の親指を握りしめたトド松にニヤニヤしながら、似合ってるよ!と答えになっていない答えを返すと、さらにプンプンと怒られた。
おこぷん。なトド松を華麗にスルーして、ハロウィンを楽しもうよ!と、トド松の腕をとって松野家を出た。
…今日はなんだか楽しい一日になりそうな気がする!
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