▼ 十四松
我が家にカボチャのオバケがやって来た。
中身は十四松。
玄関先にぬぼーっと立っている無言の十四松を、私もまた無言で見つめる。
「トリック オア トリート!」
突然、目を見開いて両手を挙げて叫んだ十四松にビックリしながら、あ、うん…。と返事をしつつ、とりあえず部屋に上げる。
机の前に座らせて、食料庫となっている段ボールを漁る。
この前のセールで大量に買ったお菓子をポイポイと取り出して机にならべた。
「どれ食べる?」
「んーとねー。コレかな!」
お徳用のポテチを指さしたので、それ以外を段ボールに片付けてポテチの袋を開ける。
さっそく食べ始めた十四松を横目にココアを入れて飲む。
…何しに来たの、十四松。
正座で黙々とお菓子を頬張っている十四松を見つめてみても、十四松の思考なんて分かるはずもなかった。
たべた、たべたー。とココアを一気飲みした十四松は、ようやくカボチャのかぶり物を脱いだかと思うと…ごろり寝転んで、くつろぎ始めた。
何しに来たんだよ。と再び思っていると…寝ている。
とりあえず十四松に布団を掛けてあげたけど、全然起きる気配がない。
仕方がないので、今日はぐっすり眠っている十四松を見ながら過ごそうか…。
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