▼ チョロ松
「チョロ松、誕生日おめでとう!」
スマホでチョロ松を家から誘い出し、出てきた所にすかさず詰め寄ってプレゼントを押し付ける。
わけがわからないようで、オロオロしているチョロ松を見上げてニッコリ笑うと、チョロ松が一気に顔が赤くなったのがわかった。
「…ありがとう。
開けてみてもいいかな?」
「もちろん!」
照れてモジモジしながら聞いてきたチョロ松に笑顔で頷くと、嬉しそうにガサゴソと袋を開ける。
中身は、ちょっとおしゃれなシャツだ。
あ、決してチョロ松のいつものチェックがくそダサいっていう理由じゃないからね?
…たまたま。そう、たまたまそれが目に入って似合うだろうなー。って思ったから買っただけで、別にくそダサい人の隣歩くの嫌とかそんなんじゃないんだからね?
なんか、ツンデレっぽくなった気もするけど…事実だから仕方ない!と脳内で言い訳していると、着替えてくる!とチョロ松か家に引っ込んだので…ポツンと松野家の前で待たされた。
待つこと数分、立っているのもアレなので…玄関先にあるベンチに座ってボーッと空を見ていると、ガラガラと扉の開く音がして見てみる。
あ、思ったより似合ってる。
…いや、本当にくそダサいからマシなの着て!とか思ってたわけじゃ、以下略。
「…ど、どうかな?」
「似合ってるよ?」
思わず視線をそらしながら言うと、よかったー、毎日着ようかな。と、自分の服を撫でながら嬉しそうに笑ったのが視界の隅で見えた。
私のテキじゃなくて、悩んで買った服をそんなに喜んでもらえるなんて…照れる。
顔が赤くなったのがバレないように、完全に視線をそらして良く晴れた空と屋根を見ていると、ニュッと視界にチョロ松が入ってきた。
「お返しは、期待しててね!」
ギュッと私の両手を握りしめて、真っ赤な顔で叫ばれた。
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