▼ 末弟
今回も…じゃなくて、今日はトド松をお祝いするために呼び出した。
ピンクの薔薇の花束を抱きしめて待っていると、ゆっくりドアが開いた。
「おまたせ♪」
何故かオシャレな格好で入って来るトド松に、あ、これ自分の誕生日祝ってくれるのをわかった上でオシャレな服着てきたな。と、なんともいえない気持ちになりつつ…ポケットにしまっていた薬を取り出して握りしめる。
「トド松君、誕生日おめでとう!」
「ありがとう!」
笑顔で私から花束を受け取ろうとしたトド松の目の前で、ゴクリと薬を飲み込む。
ボフンと煙が私を包み込んで…男体化成功である。
…もしもの時の為に取っておいてよかった。
「え、アオイちゃん…?」
ポカンとするトド松に花束を押し付けながら、壁紙に追い詰める。
もちろん、笑顔で優しい表情を心がけて。
「トド松が生まれてきてくれて嬉しいよ。
…誕生日おめでとう」
脳内でげろっとしながらなんとか言い切って、花束を持たせる。
えっと、それから…顎をクイッとして、顔を近づけて…。
「唇、荒れてるぜ?」
「ほわっ?!」
驚いてるトド松を無視して、可愛らしい香り付きリップをグリグリと唇に塗ってあげて、塗ったリップをサッとトド松のポケットに入れておく。
あ、これ香り付きで色付きだった…まぁいいよね。
「コレでもう大丈夫だな?」
「…何が!?」
「お前の唇は…オレが守ったぜ」
アッカーン!限界。足がガクガクしてきた…。
思わず頭を抑えながらヨロヨロとトド松から離れる。
トド松は、まだ状況を理解出来てないようで目を白黒させながら、顔を赤くしたり青くしたりと忙しそうにしている。
その隙に、ゆっくり深呼吸して…最後のプレゼントを握りしめる。
「トド松、コレ似合うと思って買ったんだけど。
良かったら使って?」
なんか、キャラが安定しないけど…それは無視していただいて。
綺麗にラッピングされた箱をトド松にそっと渡すと、ハッとした表情をしたあと、ニッコリと笑って受け取った瞬間…何故か抱きしめられた。
「ありがとう、アオイちゃん!
なんで男になったか全然わかんないけど…嬉しい!」
どうやら軽いハグみたいなものだったらしくて、すぐに私から離れて中身をチェックしている。
中身は、ピンクでオシャレな感じのイヤホンである。
ちょっと奮発して音質の良さそうなものを買いました。
…べつに、他の六つ子ちゃん達と比べるとプレゼントの量が少なかったから、とかじゃないし!
「…大事にするね!」
ピョン、と私にトド松が飛びつこうとした瞬間に偶然私は元に戻って…女子では流石に成人男性の飛びつきに耐えられるハズもなく、倒れるわけで。
ビックリして目を閉じていると、思ったよりダメージが少なくて、不思議に思って目を開けてみると…私の下でトド松が笑ってた。
…あー、嬉しそうでなにより?
女神さまから贈り物>>ちょっと高めのイヤホン
>>香り付きリップ
>>夢主がイケメンの男化になって愛の言葉や壁ドンでドキドキさせる
>>薔薇
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