▼ 五男
十四松を呼び出して、私は当初の予定通りに木箱に"十四松くん 開けてね!"とデカデカ紙に書いたのを蓋に貼り付けて、箱に入る。
箱の中でプレゼント用に黄色いリボンを付けた木製バットを抱き抱えて、息をひそめる。
足元には新品のグローブとボールを用意済みで…十四松が来るのを待つばかり。
「アオイちゃーん!」
ドタドタと足音が聞こえて、何故か私の名前を叫びながら蓋を勢いよく開けたタイミングに合わせて立ち上がり、バットを持って走る動作をする。
「誕生日おめで盗塁王!」
…スベった。
キョトンと見てくる十四松に、全力でスベった事を理解した。
ので、素早く無かったことにして…普通に野球セットを渡す。
「え、マジで?
すっげー嬉しい!」
サラリとさっきのアレをスルーして、素直に喜んでくれる十四松にホッとしつつ、木箱とは別に用意していた料理とケーキ…あとクッキーを披露する。
これを作るためだけに、朝暗いうちから必死で準備したのだから食べてもらわないと!
「おおぅー!
いただきマッスル!!」
うまいうまい、と食べ進める十四松に満足しながらサラリと1日野球付き合う券10枚を渡す。
「あ、コレもあげるねー」
「マジで!?
今使うー!!」
「…明日以降でお願いします」
サラリと渡したつもりだったけど…物凄く食いついてきて、10日連続で使わないよね?と心配になった。
…最悪誰かを生贄にして乗り切らなくちゃダメかも。と脳内で作戦をたてつつ、私自ら夜なべして作った野球セットを収納する袋を手渡す。
無くさないように、松野 十四松という名前と黄色い松の刺繍を施してあるという、優しさ設計。
「そんなことより、十四松くん。
野球バットとかコレに入れて持ち歩いてね」
「おおー、あざっす!」
嬉々として食べながら袋にバットやグローブを収納しつつ、ケーキに手を伸ばしている十四松。
食べるか、入れるか…どっちかにしたらいいのに。
さて、最後の何問…"やきう"をどう処理するか。
野球と捉えるなら、ここで1試合しなくてはならないが、そんなクソ面倒なことしたく…げふん。
なので、私は考えました!
「十四松くーん!
やきうどんもあるよー!?」
「食べるー!」
女神さまから贈り物>>やきう
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