あおいそら

十四松

「アオイちゃん、今日バレンタイン!
 チョコください!!」

「べ、別に、これ義理であげてるんだから!
 勘違いしないでよね!」

「えっ、ギリなの…ガーン!
 …ところでギリってなに?」

 一瞬この世の終わりのような顔をした後、キョトンと首をかしげた十四松に笑顔でチョコレートケーキが入った箱を見せながら、ちょっとツンデレな台詞言ってみただけだから忘れて!と、十四松を家に上げて机の前に座らせる。
 箱からホールケーキを取り出して、十四松にフォークを渡して笑顔で、どうぞ!と言うと…キラキラした顔でフォークを躊躇なく、可愛いらしくデコられたハートのケーキにぶっ刺してモシャモシャと食べ始めた。
 渡しておいてアレだけど、ホントに1ホール食べる気だ…!

「…美味しい?」

「うん、美味しいよ!
 アオイちゃんも食べる?」

 口元にクリームをつけた十四松が、フォークにケーキを山盛り乗せて私の口元に持ってきて、あーん!と言ってきたので…せっかくだし!高かったし!美味しそうだし!と恥ずかしさを誤魔化して、勢い良く食べる!
 口の中に優しい甘みが広がった。

「美味しい!」

「でしょー!
 あ、アオイちゃんクリーム付いてる!」

 笑いながらナチュラルに私の口元を親指で拭って、そのまま口に含んだ十四松に思わず照れてしまったが…十四松の口の周りはクリームまみれで、微妙な気持ちになった。

<<   >>
Bookmark // List

- ©2015/11/17/Thu/AOISORA -