▼ 十四松
「アオイちゃん、今日バレンタイン!
チョコください!!」
「べ、別に、これ義理であげてるんだから!
勘違いしないでよね!」
「えっ、ギリなの…ガーン!
…ところでギリってなに?」
一瞬この世の終わりのような顔をした後、キョトンと首をかしげた十四松に笑顔でチョコレートケーキが入った箱を見せながら、ちょっとツンデレな台詞言ってみただけだから忘れて!と、十四松を家に上げて机の前に座らせる。
箱からホールケーキを取り出して、十四松にフォークを渡して笑顔で、どうぞ!と言うと…キラキラした顔でフォークを躊躇なく、可愛いらしくデコられたハートのケーキにぶっ刺してモシャモシャと食べ始めた。
渡しておいてアレだけど、ホントに1ホール食べる気だ…!
「…美味しい?」
「うん、美味しいよ!
アオイちゃんも食べる?」
口元にクリームをつけた十四松が、フォークにケーキを山盛り乗せて私の口元に持ってきて、あーん!と言ってきたので…せっかくだし!高かったし!美味しそうだし!と恥ずかしさを誤魔化して、勢い良く食べる!
口の中に優しい甘みが広がった。
「美味しい!」
「でしょー!
あ、アオイちゃんクリーム付いてる!」
笑いながらナチュラルに私の口元を親指で拭って、そのまま口に含んだ十四松に思わず照れてしまったが…十四松の口の周りはクリームまみれで、微妙な気持ちになった。
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