あおいそら

トド松

 悩みに悩んで、ついにバレンタイン当日。
 トド松を一緒にケーキを食べようと誘って、調べに調べたオシャレなカフェでスイーツを注文するところまでこじつけた。

「へぇ、こんな所あったんだ…。
 凄くオシャレなお店だね」

 トド松はニコニコしながら、お店を満喫しているが…私は全く落ち着けず、楽しむ余裕がない。
 なんとか返事を返しつつ、メニューを開く…オシャレすぎて何がなにかサッパリわからない!
 せめてもの救いは、デザートは写真付きで載っていることだろうか…。

「アオイちゃん、どれにする?」

「うーん、せっかくだしチョコにしようかなって思ってるんだけど…トド松は?」

「僕は、この期間限定のケーキにしようかなって」

 スッと目の前に差し出された紙には、バレンタインの期間限定でハート型の可愛いチョコケーキや、チョコパフェなどが載っていた。
 可愛いし、美味しそうだし…期間限定とかってついつい食べたくなるんだよね!

「うん、私もこの中から選ぼうかな…。
 トド松は決めた?」

「このケーキとパフェで悩んでるんだけど…アオイちゃん、半分こしない?」

 トド松の誘いにのって、限定のケーキとチョコを注文した。
 ケーキが届くまでの間、六つ子ちゃん達のバレンタイン裏事情を聞いていると、直ぐに届いた。

 スッとトド松がスマホを取り出して撮り始めたので、それに習うように私も記念に写真を撮る。
 うん、メニューに載ってた写真以上に可愛いし、美味しそう!

「そろそろ、食べよっか」

「そうだね…いただきます!」

 二人して、パクリと一口。
 続けてもう一口…止まらない!

「美味しいね…コレ!」

「うん、コッチも美味しいよ。
 アオイちゃんコッチ食べる?」

「食べる!」

 トド松が食べているパフェも物凄く美味しそうなので、ウッカリ勢い良く返事すると、クスクスと笑いながらトド松がスプーンで生クリームとアイスをすくって私の口元に差し出した。

「…自分で食べられるよ?」

「僕がこうしたいだけなんだけど…ダメかな?」

「全然ダメじゃないです!」

 若干あざとく悲しそうな顔をしたので、思わず首を縦に振りながら返事すると…ニッコリ笑って、あーん。なんて語尾にハートか音符がつきそうなぐらいゴキゲンな声色で再びスプーンを突きつけてきた。
 …これも惚れた弱みかな。と諦めて口を開いて食べた。
 甘かった。

<<   >>
Bookmark // List

- ©2015/11/17/Thu/AOISORA -