▼ トド松
悩みに悩んで、ついにバレンタイン当日。
トド松を一緒にケーキを食べようと誘って、調べに調べたオシャレなカフェでスイーツを注文するところまでこじつけた。
「へぇ、こんな所あったんだ…。
凄くオシャレなお店だね」
トド松はニコニコしながら、お店を満喫しているが…私は全く落ち着けず、楽しむ余裕がない。
なんとか返事を返しつつ、メニューを開く…オシャレすぎて何がなにかサッパリわからない!
せめてもの救いは、デザートは写真付きで載っていることだろうか…。
「アオイちゃん、どれにする?」
「うーん、せっかくだしチョコにしようかなって思ってるんだけど…トド松は?」
「僕は、この期間限定のケーキにしようかなって」
スッと目の前に差し出された紙には、バレンタインの期間限定でハート型の可愛いチョコケーキや、チョコパフェなどが載っていた。
可愛いし、美味しそうだし…期間限定とかってついつい食べたくなるんだよね!
「うん、私もこの中から選ぼうかな…。
トド松は決めた?」
「このケーキとパフェで悩んでるんだけど…アオイちゃん、半分こしない?」
トド松の誘いにのって、限定のケーキとチョコを注文した。
ケーキが届くまでの間、六つ子ちゃん達のバレンタイン裏事情を聞いていると、直ぐに届いた。
スッとトド松がスマホを取り出して撮り始めたので、それに習うように私も記念に写真を撮る。
うん、メニューに載ってた写真以上に可愛いし、美味しそう!
「そろそろ、食べよっか」
「そうだね…いただきます!」
二人して、パクリと一口。
続けてもう一口…止まらない!
「美味しいね…コレ!」
「うん、コッチも美味しいよ。
アオイちゃんコッチ食べる?」
「食べる!」
トド松が食べているパフェも物凄く美味しそうなので、ウッカリ勢い良く返事すると、クスクスと笑いながらトド松がスプーンで生クリームとアイスをすくって私の口元に差し出した。
「…自分で食べられるよ?」
「僕がこうしたいだけなんだけど…ダメかな?」
「全然ダメじゃないです!」
若干あざとく悲しそうな顔をしたので、思わず首を縦に振りながら返事すると…ニッコリ笑って、あーん。なんて語尾にハートか音符がつきそうなぐらいゴキゲンな声色で再びスプーンを突きつけてきた。
…これも惚れた弱みかな。と諦めて口を開いて食べた。
甘かった。
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