▼ チョロ松
「チョロ松!
にゃーちゃんのバレンタインイベントのチケット2枚ゲットしたから今すぐ行くよ!」
「えっ?…えぇ!!?」
開場1時間前に呼び出したチョロ松の腕を掴んで、有無を言わさずイベント開場に連れて行く。
始終、ホントに?マジで?と言っていたチョロ松も列に並ぶ頃には無言になったので、急に心配になって声をかける。
「あー、急にゴメンね?
前から行きたいけど、お金がーって言ってたから喜んでくれると思ったんだけど…」
「スッゴク嬉しいよ!
ありがとう、アオイちゃん!!」
突然テンションの上がったチョロ松に抱きしめられて驚きながら、良かった。と言い返して滅多にないハグを堪能しようとしたら…チョロ松が正気に戻って慌てて手を離して数歩後ろに下がった。
…チッ。
「ご、ゴメン!
嬉しくてつい…」
モゴモゴと口ごもるチョロ松に笑顔で、全然いいよ、むしろウェルカム!とサムズアップしておいた。
今度抱きついてきたら絶対に抱きしめ返してやる!と決意しつつ、シンプルにラッピングされたチョコをカバンから取り出す。
「忘れる前に…」
「えっ、僕にくれるの?」
「うん、安物で申しわけないんだけど…」
全然いいよ!むしろ嬉しい!!と勢いよく私の手から奪い取るようにチョコ受け取ってリュックに素早くしまったチョロ松を呆然と見つめる。
喜んでくれたみたいで、嬉しいな…。
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