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▼ しらせ
こんのすけに粗方この本丸の主の素行を話し終えると、急ぎ政府に伝えてまいります! そう言ってこんのすけはグルリとその場を回ったかと思うと煙と共にかき消えた。
「…これで、終わるのか」
「そうデスね。これで、あの女も終わりでしょう」
「……そうか」
やっと終わるのか。そう呟きながら自分の前髪をグシャッと顔を隠すように両手で掴みながら長谷部はその場に蹲った。
そんな彼にかける言葉は見つからず、そっと傍らに座り込んだ瞬間――ドロン! と煙を撒き散らしながらこんのすけが出現した。
「岩見国、姫百合本丸の皆様に申し上げます!
只今、この本丸の審神者、姫百合を捕縛いたしました。
この本丸にいらっしゃる刀剣男士の皆様には後日、刀解か別本丸へ引き渡し、もしくは政府手伝いのいずれかを選んでいただくこととなりました!
…それでは、私は他の皆様にも報告してまいります!!」
それだけ言うと再びドロンと消えたこんのすけを見送った。
この本丸で出来ることが全て終わった。
正直、以前?私は血が苦手で見るのも無理なくらいだから…ここの本丸は戦場に行かなかったため、ちゃんと刀剣男士というか刀剣女士として戦えるか、不安しかない。
もし、新しい本丸に行ったとして…ちゃんとやっていけるのか?…唐突に突きつけられた現実にさっき自分の顔色が悪くなったのを感じた。
「おい、顔色が悪いが…大丈夫か?」
さっきまで俯いていた長谷部が心配そうな顔で私を見つめているではないか。
ついこの前この本丸に来た私と比べて、長い間この本丸で苦しんでいただろう長谷部に心配されるなんて――そんなの駄目だ。
「huhuhu…心配しなくて大丈夫ですよ。
ワタシより、この本丸の今後デス。
…さぁ、他の方々に今後どうするつもりか、聞きにいきまショウ!」
軽く頭を振って立ち上がった私は、長谷部の手を掴み無理矢理立たせて脱衣所から飛び出した。
――とりあえずは、伊達組の部屋へ突撃しよう。
長谷部の心配そうな視線にも気がつかずに、私は歩みを進めた。
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