あおいそら

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ひきつぎ

√碇草 へし切長谷部


 こんのすけ発掘事件から数日経った今日、私は顕現された本丸ではない別の本丸へ…長谷部と共にやって来た。
 なぜ長谷部と一緒かというと…私は亜種で、ちゃんと戦えるか不安だということ。だから刀解か政府預りを考えているという旨を彼に伝えた結果、俺がついて行ってやる。と言い放ち…今に至る。
 着いてきてくれるのは心強いけど、長谷部に迷惑かけるわけにはいかない。と何度も伝えたんだけど、聞いてくれなかった。

 そして、刀剣譲渡だけど…私だけならともかく、長谷部も居ない本丸となると中々難しく他の刀剣達より時間がかかってしまった。


 そんなわけで、今日よりお世話になる本丸…この本丸はついこの前、審神者の引き継ぎがあり、元々居た長谷部は前審神者に着いて現世へと下ったためおらず、千子村正はまだこの本丸に顕現されていなかった。ので、この本丸に白羽の矢が立った。と言うわけである。
 だからとはいえ、この本丸は政府お墨付きの白本丸で…間違ってもブラックではないらしい。


 新しくお世話になる本丸の前で、緊張のあまり真顔になる私に変わって…長谷部が玄関のブザーを鳴らした。
 すると、ブー。という気の抜けるブザー音と共に、ドタバタという足音と共に玄関の戸が開いた。

「いらっしゃい、待ってたわ」

 失礼します。と告げつつ恐る恐る三和土へと足を踏み入れると、ニッコリ笑う妙齢…大体20代後半の黒髪女性と博多藤四郎が、私と長谷部を迎え入れた。
 政府から聞いていたとおりの素直そうな女性で、この人が新しい主になると思うと…少し感慨深かった。

「じゃ、俺が大広間まで案内するけんね」

 ニッコリ笑った博多が私と長谷部の腕を思ったより強い力で掴み、グイグイと引っ張っていく。
 それをこの本丸の審神者がニコニコ笑いながら着いてくる。
 この本丸は前の本丸とは違い、暖かくて優しい空気が漂っていて、思わず頬が緩んだ。


 そうこうしている間に大広間に到着したらしく、襖の前で立ち止まる。

「じゃあ、私達は先に入るから…呼んだら入ってきてね」

 私達を追い越した主はそう言い残して、入室した。

「お待たせ、皆!
 待ちに待った新しい仲間がさっき到着したわ。
 さぁ、皆で出迎えましょう。
 …長谷部、村正、入ってきて!」

 襖の向こうから少しくぐもった主の声が、長谷部とを私呼んだので…ぎゅっと自分の手を握りしめ、深呼吸をした。

「大丈夫だ」

 長谷部がそう言いながら私が胸元で握りしめている手に軽く触れ、襖を開いて先に大広間に入っていった。
 慌てて私も長谷部に続いて広間に入ると、ほぼ全刀剣男士が揃っていて…こちらを見ている。つまり、怖い。威圧感凄い。
 全然大丈夫じゃないじゃん!!と心の中で涙目で長谷部をバシバシと叩いておいた。

「へし切長谷部、といいます。
 主命とあらば、何でもこなしますよ。
 千子村正ともども、よろしくお願いします」

 堂々と口上をのべきった長谷部に続いて、私のターンがやって来てしまった。
 バレないようにコッソリ息を飲み込み…私は千子村正、私は千子村正。と暗示をかけまくってから、口を開いた。

「huhuhuhu…ワタシは千子村正。
 そう、妖刀とか言われている、あの村正デスよ。
 huhuhuhu…仲良くしてください」

 なんとか噛まずに言い切ったー!思わずドヤ顔してしまったけどな!!

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