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▼ きたい
この本丸に来てから、1週間経った。
毎日笑顔を浮かべて、主のお世話をしたり、行動を予測して先回りして準備したり…頭もゆるふわな主のお気に入りになることに成功した。
「ちょっと村正、私のお気に入りの下着しらない?」
そういうと思って、散らかっていた下着を昨日の内に洗濯し、屋根にゴザを敷いて平干ししていた真っ赤な総レースの下着を主に渡した。
本来なら手洗いで陰干しがベストのところをあえて洗濯機でガッツリ洗い、ガンガン天日干ししてやった。
屋根の上に鮮やかな色とりどりの下着が並ぶ様は壮観だった。なにせ上下セットでキッチリとゴザの上に並べて干してやったからな!近くを通りかかった男士がギョッとした表情で二度見する様は…見ていて面白かったし。
「主、これデスね。洗っておきましたので、お納めください」
「やっぱり同性だからかしら…役に立つわね」
うふふ。と笑いながら着替える主と同じように、思い出し笑いで笑ってから、今日も盛大に散らかっている汚部屋を片付ける。
まだこんのすけや、決定的な証拠になりそうな物は見つかってないけれど…何に使うのか知りたくもない謎の玩具や、謎の手引き書などが多数発掘された。そして捨てた。埋もれてたくらいだし、要らないだろうという独断である。
そうこうしていると、布と紐でぐるぐる巻きにされた謎の丸い物体が出てきた。
あまりにも怪しいそれを主にバレないように…コッソリとばっちいタオルとビニール紐を剥がしていく。
普通なら気がつかれそうだが、有難いことにここの主は頭がゆるふわで自分の世界にご在住なヤバ目な方なので…気がつかれずにすんだ。
「それでは主、ワタシは湯浴みの準備をしてまいりますね」
「村正ー。私、今日は薔薇が良いわ!」
「了解しました。色は…赤でよろしいデスね?」
「もちろんよ!
それじゃあ、後よろしくね」
私に携帯端末を投げてよこした主は、ぐっちゃぐちゃに積み重なった服の山から、今日はどれを着ようかしら?と楽しげである。
その隙に堂々とさっき発見したブツを持って帰る。
とりあえず、赤い薔薇と花弁…それから薔薇の香りの安い入浴剤を"サニゾン"でポチッと購入して…商品が届く前に、風呂場を片付けて準備して…終わったら、部屋に戻ってこの丸まって動かない式神をなんとかしなくては。
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