あおいそら

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最初から嘘だった

 貴方はあまりにも真直ぐで、私は素直じゃないから。
 いつも嘘、ばかり

「クコ殿、今日こそ一緒にお昼を....!」

「....嫌
「ちょっとぉお!蒼惟ちゃん!?たまには真田の旦那とお昼食べてあげて!!?」
 え−? もう、仕方ないなぁ」

 本当は嘘。
 毎回話しかけてくれる貴方が、大好き…なのです。

「クコ殿の弁当は実に美味しそうですな」

「! お母さん昨日機嫌よかったからじゃないかな?」

 お母さんじゃない。本当は…私が作った。
 毎日誘ってくれるから、いつでも見せれるようにって頑張ったの。

「ふーん…?」

 お弁当をじろじろ見た佐助先輩はチラリと此方を見てニヤリと笑った。
 残念なことに、私が幸村くんの事が大好きだってことは、周知の事実らしい。

「「あ。」」


「うんうん、この出汁巻き卵ふわふわで美味しいぜ。いつでもお嫁にいけるなクコちゃん」

 私のお弁当箱から一つのたまご焼きがこの世から消えた瞬間だった。
 佐助先輩は、

「余計な事言わなくていいの!」

「あははー、顔真っ赤にしちゃってさ」

 ギッと先輩を睨みつけても効果がないようで、ほっぺたをツンツンしてくる。
 ぐぐぅ。とうなりつつ幸村くんをチラッと見る。
 え、顔が真っ赤になってる!?


「破廉恥だぞ!佐助ぇ!!」


 目があった瞬間に佐助を超いいパンチで殴り飛ばし、ズザァと私の前に回り込み肩を掴んできた。
 突然の急接近にどうしていいのか分からず、息もできない…!

「大丈夫か、クコ殿!俺が変態を始末しておいたからな」

 不穏な言葉が耳に入り現実に一気に引き戻される。
 始末?って今幸村がいった、のかな?

「前から思っておったが、クコ殿は佐助ばかりで全然俺を見てくれない
 俺より、佐助のほうが好きなのか?」

 幸村くんの眼から逃れられない。
 瞳の奥には黒い炎…が見えた気がした。

「あ、その…。わ、私はっ」

「ふふっ、クコ殿は天邪鬼だからな。
 俺は全部知ってたよ、俺の事が好きで好きで仕方ないってことも全部、な」

「えっええええ、ゆ、幸村くん!?」

 ニヤリと笑った幸村くんはいつものほんわか〜。な幸村くんではなくて。
 どう見ても腹黒い俺様〜な感じの笑みで笑いかけている。
 肩に離さないぞとばかりに食い込んだ幸村くんの指が、私を現実に引き止めている。

「もう一度言おう。俺の事、好き、なんだろ?」

「す…きじゃないもん!」

 最後の力を振り絞って幸村くんを突き飛ばして逃げ出した。


 私は後ろで「逃がさないぞ…クコ殿」と笑っていた幸村くんなど、到底知る由もないのだ。


2013/11/18

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