<< >>
▼ 脱走中
当然のように追いかけてきたベルとスクアーロを威嚇射撃をしながらなんとか撒いて、樹木や建物に隠れながら移動する。…まぁ、マーモンの念写だと一発で見つかってしまうんだけど…1回の使用料がえげつないから早々しないでしょう、多分。
周りから死角になる木の上で深呼吸して息を整え、念のため銃を構えながら辺りを見渡す。
当然ながら辺りには一般客、といっても大体マフィア関係者だけど…ばかりで、ターゲット?のベルやスクアーロは見当たらない。…そもそも隠れたりするのが得意なのはマーモンくらいで、他の人達は隠れるより堂々と!というタイプなので、きっと今回も正面かどうかはともかく…堂々と現れる、ハズ。
息も整ったので、場所を移動すべく隣の木に飛び移ると…ナイフが飛んできた。このナイフはベルだ。
「しししっ、クコはっけーん」
ナイフが投げられた先を見ると、建物の上にベルがナイフを構えて立っていた。…予想外の発見の早さに驚きつつ、遮蔽物を利用しながらベルから離れる。
ベルを警戒しつつ、もしかしたら他もいるかもしれないので背後も警戒する。
「見つけたぜェ…!」
一旦開けた道を横断していると、スクアーロの煩い声が響き…とっさに体を傾けたお陰で軽い傷で済んだけど、服の袖が破れた。
「う゛お゛ぉい!
いい加減諦めて投降しろ!!」
「断る!!」
続けざまに攻撃してくるスクアーロの攻撃を死ぬ気で避けるが…服が破れ、傷が増えていく。
そろそろヤバいなぁ。と思って後ろに飛び下がると、さっきまでいた場所に雷撃が落ちた。…ちょっとまて、アレ当たったら死んでたんじゃ?
「…チッ。仕留め損ねたか」
レヴィの舌打ちに堪忍袋の緒が切れたので、とりあえずターゲットをレヴィに絞って撃つ。
その間もスクアーロが追撃しようとしてくるので、そちらにも威嚇射撃をしつつ遮蔽物の沢山ある場所に移動する為に走る。…が、ワイヤー付きのナイフが飛んできて移動が制限される。
「まぁ!
クコちゃんの服がボロボロじゃない!!」
草陰から攻撃を仕掛けてきたルッスーリアは、替えの服もあるから安心して頂戴!と見当違いな事を良いながらも足技をだしてくる。…手加減されているようで、骨が折れるほどではないけれど、ガードしても物凄く痛い。
「そろそろ良いかな?」
私が地面に転がった瞬間、のっそり現れたマーモンから大量の縄が放たれ…私は拘束された。…まさかマーモンまで協力してるなんて。
満身創痍でぐったりと地面に横たわっていると、いつの間にか出現したザンザスに抱え上げられる。…抱えられると同時にマーモンの縄も消えた。
「おい、クコを治せ」
「もちろんよ、ボス」
ルッスーリアは、クジャクを匣から出してザンザスに抱えられたままの私を治療した。…傷口が徐々に消えていく様子はいつ見ても不思議なものである。
「で、気は済んだか?」
「…うん」
私を抱えたまま歩き出したザンザスに抵抗する気もおきず、抱えられたままじっとしておいた。…とりあえず、服着替えたいです。
<< >>