あおいそら

<<   >>

due

「なんで、お前も驚いてるんだぁ!」

 案の定スペルビに怒られつつ、はじめましてクコです。と名乗ると、スクアーロのどこが良かったの?とか、お前殺し屋?とか、囲まれて矢継ぎ早に聞かれた。…とりあえず、殺し屋じゃないですパン屋です。とだけ返しておいた。

「…不思議な子だね」

 一番不思議な存在の、マーモン?に不思議と言われてしまった。…べつに私は普通だと思うんだけど。
 とりあえず、持ってきたフルーツの盛り合わせを近くのテーブルに置いて、元気そうだから帰るね。と病室から出ようとすると、ちょっと待てぇ!とスペルビに肩を掴まれ止められた。

「…まさか本当に帰るつもりか?」

「まさか!
 …ちゃんと観光してから帰るよ」

「ちげぇえええええ!!」

 えっへん。と胸を反らして告げると、なんでそうなる!?と叫びながら揺らされた。
 仕方がないので、ここは私が大人になって…じゃあどうしろって言うの?と聞いてあげると、スペルビは周りを見渡してから少し小さな声で、後で電話する。とだけ言った。
 とりあえず分かったと頷いてから、お大事に。と病室から退出した。…始終ボスさんは無言で凄く怖かったけど、何もなくてよかった。と、扉の外で安堵の息を吐いた瞬間、後ろからガシャンと何かガラスの割れるような音と、スペルビの叫び声が聞こえた。

<<   >>
Bookmark // Bookshelf

- ©2015/11/17/Thu/AOISORA -