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▼ 家
「おじゃましましたー」
と正一の家を出て、自転車を押す正一の隣を歩く。
…なんともいえない無言の時間が過ぎる。
「…クコちゃん、今日は本当にありがとう」
突然止まった正一は私を見つめて、楽しかった、凄く。と続けた。
そういえば、一緒に遊んだのは初めてかもしれない。
今までは、正一が仕事とか諸々で忙しくてタイミングが合わなかったんだよね…。
「私こそ、珍しい体験とか出来て面白かったよ。
…また誘ってね!」
「クコちゃんが良いなら…ずっと、これからも手伝って欲しいんだけど…」
どこかオドオドした雰囲気の正一に、もちろん!と答えると…さっきの表情とうって変わって嬉しそうな表情になった。
…そんなに喜んでもらえると、私も嬉しい。
「…じゃ、じゃあ!明日とか暇かな!?」
「え、うん。土曜も暇だし、日曜も暇だよ?」
突然の正一の発言に驚きながら、土日の予定…まぁゲームしようと思ってただけだし、暇だな。と答えた。
その答えに、ホント!?と踊り出さんばかりにテンションを上げている正一。
どうしたんだろう…情緒不安定?と、思わず首を傾げる。
「実はね、土日に僕とスパナ…それから関係者を呼んで、ゲームの体験会をする予定なんだ!」
テンションの上がったまま正一は、明日8時に僕の家に一旦来てくれる?と言いながら軽い足取りで歩き始めた。
それに合わせて私も正一の隣を歩きながら、分かった。と答えた。
「あ、私の家ここだから」
「…あ、じゃあここまでだね」
「うん、今日はありがとう。
気をつけて帰ってね、正一君」
「ありがとう。
じゃあ、また明日!」
自転車に乗った正一が思ったより早いスピードで去って行くのを手を振って見送りながら思った。…明日なに着よう。
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