あおいそら

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体験会

 正一に誘われた謎の体験会の日になってしまった。
 昨日お風呂の中でようやく…あれ、関係者ってもしかしてマフィア?って気がついてから、やってしまった!と、どうしよう!?で頭がいっぱいである。
 それに加えて服装も悩み悩んで…結局あまり寝てない。
 欠伸をこらえながら髪を梳かしつけ、顔を洗って歯磨きして…ちょっと可愛い感じの服装に着替えた。
 …少し早いけど、正一の家へと向かうことにする。

 予想通り早く着いてしまった私は、少し悩んだものの…チャイムを押した。
 おして数秒後、ドタバタという音が聞こえて玄関が開いた。

「お、おはよ…!クコちゃん」

 転がるように出てきた正一は、ずれ落ちた眼鏡を押し上げているが…それより髪が一房跳ねているのが気になった。

「正一君、おはよう。
 …髪の毛、跳ねてるよ」

 笑いながら跳ねてる髪を直してあげると、さっきまで動かなかった正一が急に顔を真っ赤にしてお礼を言ったので、私も釣られるように赤くなった。
 お互いに見つめ合うこと数秒、耐えられなくなったのか正一が、荷物取ってくるからちょっと待ってて!と家に引っ込んだ。
 …正一がいなくなったので、赤くなった顔を手で押さえながらゆっくりと息を吐いた。

 赤くなった顔が元に戻った頃、ゆっくりとした足取りで正一が戻ってきた。
 どうやら荷物はアタッシュケース1つみたいだけど…アタッシュケースって、なんか怪しいものがは言っていそうな気がするのは何故だろうか。

「…あー、じゃあ行こうか」

「うん。
 …そういえば昨日から気になってたんだけど、体験会ってどこでするの?」

「友達、の家かな…」

「なにその煮え切らない表現…」

 歩き始めた正一に疑問をぶつけると、友達の家。と曖昧な口調で告げた。…なんか、主人公の家じゃないかって思ったんだけど、まさかね?
 ぬぐいきれぬ不安を抱えながら歩くこと約30分、正一の友達の家に到着したようです。…中から破壊音とか、子供の叫び声が聞こえるんですけど?

「…え?」

「あー。
 まぁ、いつものことだから気にしないで?」

 思わず正一を見上げたけど…苦笑しながら顔を背けられた。

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- ©2015/11/17/Thu/AOISORA -