あおいそら

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趣味

 入学式から暫く経ったが、気がつけば…正一と仲良くなった。

 まぁ、彼の愚痴を聞いて同情していると…ありがたがられたって感じだけど。
 その愚痴というのも、大手企業に高校卒業後就職が決定していて、時々仕事の依頼が来て、その依頼をこなしている。が、その依頼がどれもこれも無理難題ばかりで胃が痛いらしい。…大手企業って、まさかホンゴ…いや、深く考えないでおこう。

 それから、外国にいる友人の話も沢山聞いた。
 なんでも同じ境遇の人で、話が合うが…時々話が噛み合わなくて困る。のだそうで。…コレってもしかしてス…いや考えまい。

 なんにせよ、私と違って未来っていうか就職先がが決まっていて羨ましい。…まぁ、それが本当にいいのかは不明だけど。

「でさ、その頼まれてた物がやっと出来たんだ…。
 あとは送るだけ」

「そっか〜。
 凄く大変だって言ってたけど、なんとか終わってよかったね」

「うん。
 だからさ、この後暇なら遊びに行かない?
 最近ずっと学校か家にいたからさ…無性にどこかに行きたい気分」

 なんとなく昨日より顔色がいい気がする正一は、いつも別れる丁字路で立ち止まった。
 …今日、今日はゲームの続き、したいんだよね…。もうすぐボスだし。

「あっ、もしかして用事あった…?」

 私が渋ってるのが表情で分かったのか、正一が悲しげな表情で言ってくる。
 そんな表情されると凄く断りにくい…。

「ううん。
 ちょっと今してるゲームの続きがしたかっただけだから…正一君に付き合うよ」

「…ゲーム?
 クコちゃん、ゲームするんだ…?」

「うん、毎日してるよ」

 何か問題でも?と、開き直って正一を見返すと…どうやら何かを考えているようで。
 とりあえず、彼から何か発言があるまで待つことにする。

「えっと…VRMMOって分かる?

「それってたしか…実際にゲーム内に入って戦ったり出来る。っていうヤツだっけ?
 ここ最近やっと実現出来たって話題になってるよね」

 前いた世界では夢物語だったゲームが、こちらの技術だと簡単だったのか…お値段がクソ高いものの、市販されるようになっている。
 私も興味あるし、是非やってみたいが…お値段がクソ高いのでまだ買えずにいる代物だ。

「そのVRMMOのゲームプログラムを友人と作ってるんだけど…女性プレイヤーの感想とかも聞きたいなって話しててさ。
 クコちゃん、もし良かったら…プレイヤーとして手伝ってくれないかな?」

 嫌ならいいんだけど。なんて言う正一の手を素早くとって握りしめる。

「私、1度でいいからVRMMOしてみたかったの!」

 タダで、まだ市販されてないゲームを体験できて、尚且つ私の感想とかが反映されるかもなんて…断るわけがないよ!
 むしろ…ありがとうだよ、正一!

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- ©2015/11/17/Thu/AOISORA -