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▼ 彼
そんなこんなで、VRMMOをさせてもらうべく…正一の家にやって来ました。
「ただいまー」
「…お邪魔しまーす」
正一の後について玄関に入ると、奥から女性が出てきた。…きっと正一ママだな。
「おかえり正一…って、女の子連れて帰ってくるなんて!」
「母さん!」
「はいはい、お母さんは引っ込んでおきますね。
…ごゆっくり!」
おほほ。と笑って正一ママは去って行った。…愉快なママンだな。と思いつつ、溜め息を付いている正一の後について、部屋に入る。
部屋の中は、PC機器?とかがが床に転がってはいるが…案外整理されていた。
「ごめん、散らかってて…」
謝りながら、慣れた足取りで足下の部品を避けて机のPCの電源を入れた正一は、タイミングがいい。とか良いながらカタカタとキーボードを叩いて何かを立ち上げている。
何してるんだろう?と正一の後ろから画面を覗きこむと、パチッ。と何かが映った。
『正一、今日は早いんだね』
「そうなんだ、スパナ。
前言ってた、女性モニターの件なんだけど…」
『それを彼女に?』
「そう!
…あ、紹介するね。
この人が前言ってた外国の友達の…、スパナ」
『はじめまして』
画面に映ったのは、スパナで…正一は私にスパナを紹介した。
「えっと、はじめまして…私、雨草 クコっていいます」
「…ん?
ねぇ正一、この子ってもしかして…君がいつも話してるクコちゃん?」
「え、うん。…そうだけど」
「へぇ、この子が正一が高校に入ってからずっと――
「わぁあああ!その話はいいから!」
――仕方ないから黙る」
どうやら私の話をスパナにしてたらしく…?途中、顔を真っ赤にした正一がスパナの話を遮ったため詳しくは分からなかったけど。…高校に入ってから一体何があったんだろうか?
「…クコちゃん、気にしなくて全然良いからね!?」
首を傾げた私に、まだ顔の赤い正一が必死に私に言ってきたので…とりあえず気にしないことにして、頷いておいた。
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