あおいそら

素直になれなんて馬鹿げてる

 カラ松さんにシキという名前を付けてもらってから、ずっと…できる限り一緒にいさせてもらってる。
 好きな食べ物とか、嫌いな食べ物…カラ松さんを少しずつ知ることが出来て、本当に嬉しかった。
 カラ松さんは6人兄弟で皆さん良くしてくれたし、カラ松さんはとても優しかった。
 …でも現実は優しくなんてなかった。

「どうしたんだ、シキ!?」

 カラ松さんが立ち上がって部屋から出ていこうとしたので、慌てて私も立ち上がると、急に目の前が揺れたと思うと…カラ松さんの腕の中で介抱されていた。

「大丈夫です、ちょっと眩暈がしただけですから…」

 名残惜しいけど、カラ松さんの腕の中から抜け出した。
 これは眩暈なんかじゃない、そんな事は分かっていたけど…カラ松さんには、カラ松さんだけには、本当のことを言えそうになかった。
 素直に告げた方がいいのは分かってる。
 でも、コレだけは…死期が近付いていることは、カラ松さんに言えない。
 心配そうに私を見つめるカラ松さんを、そっと見つめ返しながら、私は雨が降ってくれればいいのに。と願った。


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- ©2015/11/17/Thu/AOISORA -