▼ 素直になれなんて馬鹿げてる
カラ松さんにシキという名前を付けてもらってから、ずっと…できる限り一緒にいさせてもらってる。
好きな食べ物とか、嫌いな食べ物…カラ松さんを少しずつ知ることが出来て、本当に嬉しかった。
カラ松さんは6人兄弟で皆さん良くしてくれたし、カラ松さんはとても優しかった。
…でも現実は優しくなんてなかった。
「どうしたんだ、シキ!?」
カラ松さんが立ち上がって部屋から出ていこうとしたので、慌てて私も立ち上がると、急に目の前が揺れたと思うと…カラ松さんの腕の中で介抱されていた。
「大丈夫です、ちょっと眩暈がしただけですから…」
名残惜しいけど、カラ松さんの腕の中から抜け出した。
これは眩暈なんかじゃない、そんな事は分かっていたけど…カラ松さんには、カラ松さんだけには、本当のことを言えそうになかった。
素直に告げた方がいいのは分かってる。
でも、コレだけは…死期が近付いていることは、カラ松さんに言えない。
心配そうに私を見つめるカラ松さんを、そっと見つめ返しながら、私は雨が降ってくれればいいのに。と願った。
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