▼ つれてかれる
殴り合いが加熱してきた頃、一松のお母さんが勢いよく入ってきて…一瞬でしずめた。
「シキちゃん、騒がしくしてごめんなさいね?
さっ、コッチで着替えてちょうだい」
1列に並んで正座している6人を置いて別の部屋に案内されて、着替えてさっきの部屋に戻ると…みんな着替えたみたいだった。
中に入って襖を閉めると、唯一私に気が付いた一松がスタスタと近づいてきて私の腕を掴むと、さっき閉めた襖を開けて廊下に逆戻りした。
「…どうせすぐ朝ご飯だから、先に行こ」
なぜ腕を引かれたのか分からずに、ジッと一松を見てると…渋々といった表情でそう呟いた。
朝ご飯…思わず無事だった腕時計を見ると、もう10時で、朝ご飯には少々遅い気がするけど…あえて口に出さずについていくと、晩御飯をよばれた部屋について、座らされた。
「あら、一松…とシキちゃん。
もう少しでできるから待っててちょうだいね」
フライパンとフライ返しを持った一松のお母さんが、台所からチラリと顔をのぞかせる。
フライパンとフライ返し…いったい朝から何を作っているのか気になった。
とりあえず、人様のお宅なので一松の隣でおとなしくテレビを見てようと思います。
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