▼ ごはん
朝の占いが終わった頃、一松のお母さんが朝食を持ってやって来た。
焼いたパンの上に目玉焼きがドーンと乗っているシンプルな物だった。
「お、ナイスタイミング!」
まるで見計らったかのようにドタバタと足音をたてて一松の兄弟が降りてきてちゃぶ台を囲んだ。
一松のお父さんも降りてきて、六つ子達と…私に気がついて少し驚きながら挨拶してからキッチンへと消えていった。
偶然一松とさっきの占いの話をしてなかったら気がつかなかったんだろうな…。
「あ、そう言えばシキちゃんって玉子に醤油?」
緑チェックの人…チョロ松くん?に醤油を取ってもらった赤パーカーのおそ松くん?が醤油を目玉焼きにかけながら首をかしげた。
かけ終わった醤油は、たらい回しのように順番に回っていく。
…どうやらこの家は醤油派の様だ。
だってソースないし。
てか、醤油+目玉焼き+食パンってどんな食い合わせなの?
「うーん、私はかけない派かな?」
回ってきた醤油をスルーして隣にまわしてからパンに齧り付く。
…あ、半熟卵だ。
「ふーん」
「興味ないなら聞くなよ!」
何故かプンスカ怒っているチョロ松くんに苦笑していると、クイッと服を引かれた。
「早く食べて。
…送るから」
もう食べ終わっている一松がボソリ言ったのが聞こえたので、慌ててパンに齧り付いて食べ切る。
…うん、半熟サイコー。と、玉子の余韻に浸っていると…グイッと一松が親指で私の口元を拭って、その親指を舐めた。
思わず静止して一松を凝視する。
「…玉子、ついてた」
急に目を見開いて顔を赤くした一松を確認してから、私の顔も一気に赤くなったのが分かった。
…恥ずかしいならしないでほしかった。
<< >>