あおいそら

えんがわ

 えっ?と思っているうちに引きずられて、薄暗くてよく見えないけど、広そうな庭の見える、1階にあるベランダみたいな場所…縁側だっけ?に連れてこられて一松の隣に強制的に座らされた。
 意味がわからないのと、一松との距離の近さにオロオロしていると、ボソリと一松が口を開いた。

「…アイツら無視していいから」

 フイッと背けた顔が照れているみたいで、きっと私をあの喧騒というか…兄弟喧嘩?から助けてくれたのかな?と、ちょっと良いように受け取っておく。

 …涼しい風が私の髪を揺らすけど、一松が全く動かないし喋らないので、気まずいし恥ずかしいしで…私も動けない。
 そんな状態のなか、空気を読まずか読んでなのか…ガラリと一松の兄弟の誰かが顔を覗かせた。

「そろそろ寝るってー」

「ん」

 兄弟に顔を向けて微かに返事した一松がゆっくり立ち上がって…私を見た。
 目が合ったことに少し驚きながら、私も慌てて立ち上がって…ふと気がつく。

「寝る場所とか聞いてない…」

「それなら大丈夫だよ!」

 タイミングよく顔を覗かせたのは、さっきとは違う声で、別の兄弟だと分かった。
 というか、2人とも同じパジャマを着ている…もしかして、みんな同じパジャマなのかな?
 だとしたら、少し可愛いかも。なんて思いながら、大丈夫!と言った松野なんとか松くんに首を傾げてみせる。

「母さんがね、一松兄さんと寝たらいいんじゃない。っていい笑顔で言ってた」

 ニヤニヤと笑っている一松の弟だったらしい、大丈夫!松くんが親指を立てると、一松が親指を折ろうとしてひと悶着…になりそうになったけど、一松、パジャマに着替えないのー?という緩い声で舌打ちしただけで指を曲げるのを止めて部屋から出ていった。

「…危なかった。
 あ、シキちゃん…は、その格好だと寝にくいと思うから、この服着て寝たら?って母さんが」

 明らかに私を見失っていた弟松くんに渡されたモノを広げてみると、どこかで見た覚えのあるジャージだった。
 …これ、一松がよく履いてるヤツじゃない?

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