▼ あらう
松野家の六つ子と一緒に食卓を囲んで、いや…囲まれて、緊張している。
ので、全力で存在感を消しています。
…なんか、一松だけチラチラ私を見てくるけど、なんとか気がついてないフリをして乗り切った。
「ごちそうさまでした」
小声でごちそうさまして、食べ終わった食器をキッチンに持っていくと、ハッとした表情の松野ママが、わざわざありがとうね!と言いながら片付けなかった六つ子の食器を片付けている。
「あの、食器洗ってもいいですか?
お礼というほどじゃないんですけど、何かお手伝いしたくて…」
「まぁ!
シキちゃん、だったかしら…?
本当によく出来た子ね、いつでも嫁に来ていいのよ?」
驚いて松野ママを見ると、やっぱり一松がいいのかしら?と、ニコニコと嬉しそうに爆弾発言した松野ママ越しに真っ赤な顔でうろたえている一松が見えた。
思わず目線をそらすと、ニヤニヤと5人が固まって一松を見ているのが目に飛び込んできたけど…かかわらない方が良さそう。と即座に判断して、松野ママに曖昧に頷いて食器を洗い始めた。
…後ろで派手な破壊音が聞こえた気がしたけど、気のせいだと思い込んで9人分の食器を松野ママと洗いきった。
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