あおいそら

気になるから

 結局、彼女に気が付かれる前にコソコソと引き下がって帰ってきてしまったが、どうにも気になって仕方ない。
 …なんでこんなに気になるのか、ハッキリさせたい。そんな言い訳じみた理由で今日もまた不法侵入。

「…あら?
 メガネくんの飼い主さんかしら?」

 今日もお前ら仲良さそうだな。と、発火しそうになるのを堪えつつ、定位置になってしまった植木の陰から見ていると…ついに彼女が俺に気がついた。
 …しかも、ふんわり笑うというオプション付きで。

「えっ、あ…あ…!」

 何とか喋らなくては。そう思って口を開いても、言葉にならない音が口から漏れるだけで余計に焦りと緊張が増す。
 どうして良いのか分からず、だからといって彼女をずっと見ているわけにもいかず、視線が定まらないし考えもまとまらない。

「にゃーお」

 気の抜けた声が足元から聞こえた。

「にゃーお」

 アイツが俺の足にすり寄りながら、心配そうな目で見ている。
 “大丈夫?”そう言われた気がした。

「あらあら、仲良しさんなのね」

 クスリ。と笑った彼女には魔力でもあるのか…しばらくの間、彼女から目が離せなかった。

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