▼ 追いかけた先は
最近アイツが頻繁にどっかに行くから、どこに行ってるのか気になって後をコッソリつけてみた。
たどり着いたのは、白くて綺麗な一軒家。
俺なんかが到底近づいていいような家でないことは一目瞭然で、思わず呆然としてしまったが…悠々と敷地内に入っていくアイツを見て慌ててコソコソと敷居を跨いだ。
丁寧にかり揃えられた植木に潜みながら、アイツに気が付かれないように進む。
…この家、庭の手入れが行き届いてる。もしかしてお金もゲフッ!
考えただけでダメージを喰らって、口から垂れた血を手の甲で慌てて拭う。
これ以上はヤバイ。頭を振って考えるのを止め、アイツの様子をうかがう。
「ニャーン」
「にゃ、にゃーん!」
大きな出窓に向かってアイツが鳴くと、真っ白でフワフワなニャンコがやって来て、首元の鈴を鳴らしながらカリカリと窓を引っ掻いた。
そのすぐ後、俺と同じくらいの歳で猫と同じくらいフワフワな女の子が微笑みながら窓を開けた。
「あらあら、今日も来たの?
…メガネくん」
出窓に頬杖を付いてクスクス笑っている彼女をよそに、アイツはヒョイっとジャンプして部屋に入った。
アイツはすぐさま白ニャンコに近づいて、スリスリと挨拶している。
どうやら、アイツは白ニャンコにお熱のようだった。
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