▼ おでんはチビ太のおでん
今日は兄妹みんなでオデン。
「お、今日は全員集合かバーロー」
「お邪魔しまーす」
暖簾をくぐって思い思いの席に座る…今日は番号順に座っていて、私は一番端。
五男の十四松兄さんに押されながら何とか席を死守しつつ、いわゆるチビ太のおでん…コンニャク大根ちくわのセットと、コンニャク玉子とちくわぶの二種類を皿に乗っけて箸でつつく。
隣の十四松兄さんは時々急に、色んな所からビールを噴出させる芸をするので、それを避けつつビールを飲み込む。
「あー、おめぇも大変だな」
「慣れてるんで…」
間一髪でビールを避けたのを見ていたのか、チビ太が哀れんだ目で私を見つめながら皿にはんぺんを入れてくれた。
あざーっす。と呟きながらモグモグとはんぺんを食べていると、急にチョロ松兄さんが立ち上がって訳の分からない事を叫んだ。
「うーわ、ヤバイね」
「ヤバイね」
「こんな夜中に雄叫び上げるとか近所迷惑だよー」
今座っているイスの反対側の端に座っているおそ松兄さんと、引いた顔をしながら掛け合いをする。
そろそろ帰らないとヤバイかもしれない。
…若干名すでにアウトだけど。
「そろそろ帰るか」
「…ごちそうさま」
ガタタッ。とカラ松兄さんがチョロ松兄さんに肩を貸して立ち上がったのを合図に一斉に立ち上がる。
毎回恒例の兄妹で唯一働いている自分が素早くチビ太にお金を払う。
「ごちそうさまでした」
「おう、気をつけて帰れよ!」
へーい。と気の抜けた返事を返しながら兄達の背中を追って走る。
…あれ?チョロ松兄さんが引きずられてる。
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