▼ 秘密はいずれバレる
…ついにバイトしているのが兄さん達にバレた。
まぁ、思ったより長い期間バレかなったのでよしとするけど…けども、想像以上に兄たちが代わる代わる来店するのは、いただけない。
「いらっ…て、なんだチョロ松兄さんかー」
さっき無駄になった笑顔どうしてくれるの?と軽口をたたきながら、テーブルに案内する。
兄が来た時に私が接客係だったら、なるべく一番奥の植木鉢の向こうの一番目立たない場所に案内している。
…だって、同じ顔が居たら気持ち悪いでしょ?
「ご注文はお決まりでしょうか」
「メニューくらい見させて!?」
メニューを渡しながら疑問符を付けずにチョロ松兄さんに声をかけると、鋭いツッコミをもらった。
それを軽く無視しながら、ご注文が決まったらお呼びください。と言い捨て早足でレジの方へ戻りながら、数人いらっしゃるお客様の飲み終わったグラスや皿をついでに厨房へ運ぶ。
『ピンポーン♪』
掲示板に6番テーブルの光が灯る。
…チョロ松兄さんのテーブルだ。と確認して、再び兄の所へ注文を聞きに行く。
「あ、トド松…このAセットをアイスコーヒーで」
「タバスコはご入り用でしょうか?」
「え…ケーキのセットなのにタバスコとか使わないでしょ!?」
「いえ、世の中にはご奇特な方もいらっしゃるので…」
「僕がその奇特な人間って言いたいのかな!?」
「あれ、違いましたか?」
中身のない会話を楽しみつつ、チョロ松兄さんからメニューを受け取って厨房にオーダーを言いに行く途中、カランカランとベルが鳴ったので笑顔を向けると…おそ松兄さんだった。
「いらっしゃいませ。
一番奥のチョロ松兄さんの膝へどうぞ」
適当な事を言って厨房に引っ込む。
こうも毎日のように1人か2人来られると、流石に仕事のメンバーに迷惑がかかるし…止めてほしいんだけど。
でも、一応お金を払ってくれるし、私がオススメしたヤツは大概食べてくれる…いい鴨じゃなくて、いい兄なので、たまに来てくれると嬉しいかな?
とりあえず、オーダーを伝えなきゃ。
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