あおいそら

雨降りの日

 トド松君からヘアピンをもらって、毎日つけちゃう!と思ったものの…校則うんぬんでつけられず、結局日の目を見ることもなく大事に鏡台の横で日光を反射させながらたたずんでいる。
 今日もヘアピンをコツンとつついてから家を出た。

 学校に向かっていると、雨が強く降り始めたので傘をさして、靴に水が入らないよう足元に気をつけながらゆっくりと歩いていると、後ろからビシャビシャと駆け足で水たまりに足を突っ込みながら近づいてくる音が聞こえた。

「シキちゃん、入れて!」

 振り返ると、トド松がカバンを傘代わりにしながら走ってきた。
 仕方ないので横に避けて傘に入れてあげると、ありがと!と言いながらポケットからハンカチを出して濡れた場所を拭いている。

「傘持ってこなかったの?」

「小降りだったから走れば大丈夫かなって思ったんだけけどね…」

 苦笑しながら、傘持つよ。と私から傘を奪い取ったトド松に私も苦笑しながら、ありがと、災難だったね。と言いながらカバンからタオルを取り出して、まだ濡れているトド松の髪を背伸びして拭いてあげる。
 まぁ、髪短いし…すぐに拭き終わってトド松の肩にタオルをかけたままにしておいた。

「おはよ、トド松くん」

「うん、おはよ」

 通り過ぎる女生徒にニッコリ挨拶しながら私とトド松は歩いているわけですが。
 …これ、私が傘に入れてもらってるように見えるパターンですよね?
 私の傘は濃紺の大きめの傘で、男性が持っていてもおかしくないというのが一番の敗因かな、と冷静?に考えてみたが…トド松だからピンクの傘でも違和感が仕事しないということにも気が付いてしまった。
 あ、これどうしようもないヤツだったわ。

 そうこうしている間に学校が見えてきた。

「あ、そうだ…前あげたヘアピンはどう?」

 使ってくれてるかな?と少し眉をひそめながらトド松が首をかしげた。
 ヤバい、コレ使ってないって言いにくいパターンや…。と思いながら、青くなった顔をトド松からそっと逸らした。

「あー、そうなんだ」

「ご、ゴメンね…?」

 なんで私謝ってるんだろう?と一瞬疑問が頭をよぎった。

「ううん、今度は学校でも使えるヤツにするね!」

 フフッと笑いながら器用にウィンクしたトド松に言いえぬ恐怖を感じながら、恐る恐る頷いた。
 私、フラグ建築しちゃった…。

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