あおいそら

ついてくるな

 仕事帰り、疲れたなぁー。と思いながらボーッと歩いていると、不審者を発見した。
 …不審者の身長は高くもなく低くもなく、中肉中背で黒髪。服装はチェックのシャツにジーパンをロールアップしていて、靴はスリッポン。などと、思わず後ろからジロジロ見ていると、急に不審者が振り返ったので、若干ビクッとなった。

「あれ、もしかしてシキちゃん?
 久しぶりだね」

「え、この前会ったよ…って、それは別の松野君か」

「僕はチョロ松だからね?」

 トト子ちゃんは僕達を見分けれるよ!と寝耳に水…じゃなくて、耳にタコなセリフをいっているのは…えっと?松野君。
 そもそも、トト子ちゃんは見分けれてるとか言ってるけど、あんなの分かるわけないでしょ。と可愛らしい顔で言っていたという話を知らないから言えるんだろうね。
 街灯に照らされて怪しさアップしてる松野君を見ながら、相変わらずこの六つ子はトト子ちゃんに甘々で変わってないな…と再認識した。
 まぁ、再認識したところで私には関係ない。

「じゃ、私コッチから帰るから」

「えっ、そっち遠回りでしょ?
 それに夜遅いし、送っていくよ」

「あ、間に合ってるんで」

 シュバッと片手を軽く上げて、カバンを持ち直し素早く走り去る。
 何故かしつこく追いかけてくる松野君を撒くのに時間がかかったことを、あえて教えておく。

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- ©2015/11/17/Thu/AOISORA -