晴のリングのゆくえ(1/2)

 


   ドサッ



頭からリングに落ちたのはルッスーリア。



「うぎゃあああ!!!」

『うそ…』

「う… うそよぉ!
 メタル・ニーが砕かれるなんて!!」



リング上では膝を砕かれたルッスーリアが狼狽えている。



「勝負あったね
 ルッスーリアには もうあのパンチを防ぐ術がない」

「笑かすよな あのヘンタイ」



あたしの横で二人はそう言っているけれど、あたしはそんなこと到底言えない。



「……」

「……う
 うう」

「緊張感のある いい戦いだったぞ
 さあ リングを わたしてくれ」



笹川了平もかなり息が上がっている。しかし、ルッスーリアはリングを渡そうとしない。



「いやっ
 いやよ!

 わたしは ヴァリアーよっ
 片足だって 勝ってみせるわ!
 楽勝よ!! おほほっ



 さあいくわよ!! 続けるわよ!!
 早く!!」

「!?
 ……? 何をあせっているのだ…」



彼はおそらく、あたしと同じかそれ以上焦っていたに違いない。



   どんっ

   ドギャッ




   グシャァ




「やる時はやる さすがボス補佐だね ゴーラ・モスカ」



モスカの放った弾丸がルッスーリアの背中を直撃し、彼はリングに倒れ伏した。



『…ルッスーリア……』

「ゔお゙ぉい 雪歩… 大丈夫かあ?」



相変わらずスクアーロは目敏い。どうしてあたしのこと一々解るんだろう。相方だから…かな?



「大丈夫だあ! ルッスーリアが負けたところで 俺や他の奴らがあんなガキに負ける訳ねぇだろぉ!!
 お前がヴァリアーから離れることなんて あるわけねぇ!
 だからそんな顔すんなあ!」



スクアーロはあたしの背中を優しく摩った。
なんでだろう。スクアーロにされるといつも心が落ち着いて安心するし、スクアーロが言うと全部本当になる気がする。
うん、なんか大丈夫になってきた気がする。スクアーロも他のみんなもあんなガキには負けないよね。ルッスーリアは…だけど、スクアーロが負けるはずない。あたしはヴァリアーから離れることはない。
ありがとう、スクアーロ。なんだかもう平気だ。



「たった今 ルッスーリアは戦闘不能と みなされました
 よって 晴のリング争奪戦笹川了平の勝利です」



落ち着きを取り戻してリング上を眺めると、倒れたルッスーリアの近くにチェルベッロの二人が立ち、事の成り行きを話している。



「今宵の勝負はこれで終わりますが
 今回より 決戦後に次回の 対戦カードを 発表します」



「ゔお゙ぉい!
 次はオレにやらせろぉ!」



スクアーロはやる気満々みたいだけど、それはさっきあたしが落ち込んだからかな?



「それでは 発表します
 明晩の対戦は ……………



 雷の守護者同士の対決です」


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