了平の右(3/5)

 


「なるほど 脱水症状により吹き出した 汗の水分のみが 照明の熱で蒸発し 汗に含まれる塩分は残る
 その塩分を拳にのせ 散弾のように 放ったってわけね…

 なはんだ…」



((ルッスーリア今「なはんだ」って言った!「なはんだ」って……っ!!))



「気づいたところで
 もう遅いぞ」

「おほっ

 おほほほ あまり 笑わせないで!
 腹筋がもっと 割れちゃうわ」

「なに…」



((ルッスーリア……本当に壊れてきたな…))



「私がちょっぴり ヒヤッとしたのは 拳圧で照明を割ったと 思ったからよ
 だってそんなことをしたのは 光り輝くパンチを放ったと 言われる 初代の晴の守護者だけなんだもの

 でもこの程度の猿芸なら  」



ルッスーリアが再び ススス・・・ と動き出す。



「  私にも できるわ」



そしてルッスーリアは、彼の懐に入り左頬を掠めて ビュッ と拳を振り上げた。



   パリーンッ



刹那、既に割れていた照明がルッスーリアのそれで再び割れる。



「なっ!?」

「芝生頭の 塩をかすめて…!!」

「同じ技を!?」



少年達は俄然驚いている。そんなこと造作もないのにね。



「いいや それ以上のテクニックを要するぞ  」



リボーンが少年達に説明しだした。



「  よける了平の体の塩を 拳圧で吹き飛ばしている
 まさに ヴァリアー クオリティだな」

「ヴァリアー… クオリティ…?」



沢田綱吉は相変わらず、家庭教師のリボーンに聞き返す。



ヴァリアーは 人間業では到底 クリアできないと いわれる殺しーミッションーを
 いかなる状況でも 完璧に遂行してきた 殺しの天才集団だ

 その 悪魔の所業とも いわれる 殺しの能力の高さを
 人々は 畏怖の念をこめて ヴァリアークオリティという


『ふっ 悪魔の所業……ね…』



彼の説明に意外な所から声がとんでくる。



「さすが リボーン よく言えたわね<3
 わかったかしら 私達とあなた達では 実力に差がありすぎて
 遊びにはなっても 戦いにはならないのよ」



リング上、ルッスーリアが両手を揃えながら笹川了平に向かって言った。



「遊びかどうかは この右拳を 受けてから言うんだな」


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