霧の守護者(2/2)*

 


スクアーロ……スクアーロ…



昨晩学校からホテルに帰ってきてからもう何度泣いたことだろう。涙はもう枯渇して両の眼から溢れることをしなくなった。



涙も涸れるほど、あたしは泣いていたのか…



窓の外に目を見遣ると、太陽がサンサンと日光を降り注ぎ――…



『…眩しい』



一人部屋に閉じこもって昨晩から泣いていたのだ。鏡で見る自分の瞼は腫れぼったく、とても皆に見せれるような顔じゃない。

耳を済ませたら、声が聞こえたから。みんなどうやら一つの部屋に集まり寛いで居るのだろう。

普段ならその楽し気な雰囲気に吸い寄せられるように、あたしもそこに集まるが、生憎今日は気分じゃない。



だって……
いくら、あのスクアーロでも
あたしの……
あたしの…たった一人の…
パートナー……だったんだ…

気が付いた時からあたしはスクアーロと組んでいたんだ。
どんな任務の時も一緒に行動してきたんだ。
スクアーロが居るからあたしは生きてこれたんだ。

スクアーロがいつも居てくれたから今のあたしは居るのに…



スクアーロは昨日のリング争奪戦で中学生の山本武に負け、初めての敗北を充分に噛み締めることもままならない間々――…

…――鮫に喰われたのだ。



『スクアーロの…………ばかぁ……』



口から零れるのは、自分からした約束も守れなかった男への中傷しか出てこない。



『ばか!……ばか…………

 ……スクアーロの…ばかぁああっ!』



なんであたしを置いて先に逝ってんだ莫迦野郎。
お前が…スクアーロが居なきゃあたしこの先やっていけないのに……
雲も居ないのに……雨まで失って……
…あたしはこれから先、どうやってヴァリアーで生きていきゃいいんだって言うんだよ……



あたしがあんたが居なきゃ生きていけないこと
相方……いや、愛方-パートナー-のあんたなら…
……スクアーロが…一番解ってたじゃないか…!!!



気が付けば、あたしの堤防は決壊して気持ちとともに涙が溢れ出した。
先程まで、涸れて一滴たりとも零れなかったのに。今度は自分で止めようとしても制御しきれない。
次から次に溢れてくる涙はあたしの頬を伝い、床を静かに濡らして行くのだ。


12/02/28


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