32 おかえりなさい

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「今日さ、出るの早かったよね。」
「そうだな・・・帰りは遅いらしいが。」
「***さんは仕事好きなんだな・・・」
「寂しいがな!わたしもっと***と遊びたい。」

そうは言ってもな。と台に乗りキッチンカウンターからサンドイッチののった大皿を、床に立っている文次郎にニつ渡し
自分は残っていた一皿を持って慎重に台から降りた仙蔵は
テーブルに置かれた大皿サンドイッチ三皿と、テーブルの脇に置かれた2リッターのお茶のペットボトル三本を見て、深いため息をついた

「お茶は一日だが、食事は毎食この量だ。」
「なんだかスッゴくお腹すくよね。」
「急激な成長と関係はありそうだが、食費がかかりすぎる。それを、女手一つで稼ぐのだ・・・寂しいなどと、言っていいわけはない。」

間違っても本人に言うなと小平太に釘をさし、食べるぞ。と座った仙蔵は
いただきます。というと、種類豊富彩り鮮やかなサンドイッチに手を伸ばした


ゴールデンウイークあけから、***の手を借りずに(けれど、***がいないときは基本禁止)お風呂に入ってきたわけだから勝手はわかる
***がしてくれているようにパジャマと下着を用意し、沸いた風呂に肌にいい(美容ではない)という薬用入浴剤をいれて二人一組で順番に入る
最初は違和感しかなかった入浴剤も、今はないと落ち着かない

「・・・留さん、」
「んー?」
「次長次達だから水足した方がいいよね。」

あがるときでいいだろ。とはー。と天井を見上げた留三郎は
よかったな。と笑いながら伊作に視線を移した

「なにが?」
「***さんに受け入れてもらえて。俺は・・・無理だと思った。」
「・・・***さん、優しいよね。」
「ああ。」
「ここにいてよくなって、本当によかった。でね、僕さ、前の人たちのこと話してみようと思うんだ。」
「それは・・・仙蔵たちに相談しないとな。」

ざぱっと浴槽から出た留三郎は、伊作が転ばないように手を貸して一緒に風呂から出た



時刻が23時をまわってから、小平太がソワソワしだし
終いには玄関で座り込み待ってると言い出した

前回とは違い暖かくなってきたため、特に反対するでもなく
6人揃って、***の帰りを待つことになった


「ただいま。」

大きな袋を持って帰ってきた***は少し驚くと、待ってるにしてもこんなとこで待たなくていい。と靴を脱ぐが
伊作と留三郎がおかえりを言えば、***はただいま。と改めて言ってくれる
出遅れた四人もおかえりを言い、***に首を傾げさせた

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