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「あなた、何者?」
「忍たま。」

学園長に承諾を得て、それを書面にもらった***に、少女は驚きの声を上げる

「ただの忍たまが私を敵にまわすおつもりですか?の一言で私の命を保障してくれるなんておかしいじゃない!」
「んー・・・私ね、山田先生と同程度の実力があるんだ。自惚れじゃない程度に言うなら、六年生が束になってかかっても、絶対に負けない。」
「何、最強設定なの?」
「いや、負けるときは負けるからね?」
「・・・努力?」
「素質もあったみたいだけど、努力したよ。うんと。平成じゃのほほんと生きてたからね。」
「・・・・・・あー!もう、頑張るわよ!!逆ハー無理みたいだし。」
「逆ハーってなに?」
「ハーレムの逆。」

あぁ、侍らすのね。と言えば、少女はそうよ!とヤケクソ気味に叫んだ

「あ、名前なに?」
「・・・愛野天愛羅よ。」
「じゃぁクイーンね。」
「なんでよ!」
「ティアラって宝冠でしょ?で、女だから女王。でも女王だとおばさんみたいだから、クイーン。」
「発想の飛躍が半端ないわね。天愛羅でいいわよ。」
「じゃぁ天愛羅。私は***・・・よろしくね。」

握手のために手を差し出せば、調子狂うわね。と少しふてくされた愛野が握り返した

学園長の庵から真っ直ぐ食堂へ向かえば、調理場ではおばちゃんが既に下拵えをしていて、二人を見て目をまん丸くさせた

「ただいまおばちゃん。」
「お帰り***君・・・」
「ほら天愛羅。」
「わ、わかってるわよ!」

半ば呆然としているおばちゃんに、愛野は深々と頭を下げる

「今までごめんなさい。今日から心を入れ替えて頑張ります。」
「・・・愛野ちゃん・・・・・・よろしく頼むわね。」

しょうがないわね。といった様子のおばちゃんに、暫くは私も手伝うよ。と笑えば、助かるわ!と笑顔で返された

「包丁で皮剥ける?」
「無理。」
「じゃぁ切れる?」
「不揃いでいいなら。」

肉じゃがだという定食Aを二人で担当することになったのだが、思った以上に愛野は何もできない
けれど、不器用ではない

「人参は皮剥かなくていいから、このくらいに。」
「こう?」
「そう。」

その間にジャガイモを剥いていく
スルスルスルと繋がる皮に、愛野は釘付けだ

「どうした?」
「・・・前から料理得意だったの?」
「家庭科大好きだった。」
「・・・ふぅん。」

そこからはほぼ無言だったが、***は愛野をよくフォローしていたし、愛野も***の言うことはよくきいた

「うん!いい味だわ。」
「よかった。じゃぁ副菜はこれと、汁はそれだよね。」
「いつの間に!」
「あらあら、手際がいいのね。」
「忍者は効率的に動きますからね。」

一番最初に食堂に入ってきたのは、一年は組だった