- ナノ -


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 暖かくなってきた風に誘われるように、虫たちもまた、顔を出す。その辺を飛んでるだけの虫ならまだいい、と人間は言った。だけど、蚊とか蜂とか、刺してくる虫はなあ。
 心底参った、というように嘆息する人間を、竜がちらと見る。重そうだが、虫など意に介しそうもない鱗。この時ばかりは羨ましい、と人間は思った。


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