- ナノ -


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 森の中で渾々と眠る竜のもとには、いつしか、森じゅうの生き物が木の実や果物などを運んでくるようになった。竜がいつ目を覚ましてもいいように。竜が食べ残したものは、皆で分け合って食べた。木々の葉を風が奏で、太陽と月が光の歌をうたう。人は滅多に踏み入らぬ深い森に抱かれて、今はただ、穏やかな時間が流れていた。


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