- ナノ -


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 いくら竜といってもさ、と竜医。弱ってるとき、人の言葉を解すのは負担がおっきいと思うわけ。だから竜の言葉を勉強してるの。
 そもそも人の言葉なんて知らない竜もいっぱいいるだろうし。そう呟いて再び書物の読み込みに没頭していく彼女に竜はひとつ頷き、よかったら今度、わたしが竜の言葉を教えよう、と声をかけた。間髪を入れずに彼女は瞳を輝かせ、ぜひ、と笑った。


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